しかし、いい話ばかりではない。胡錦濤主席訪日の際、共同声明で使われた「戦略的互恵関係」という言葉にそれが表れている。青山学院大学の高木誠一郎教授は、『国際問題』誌2008年3月号で、「戦略的互恵関係」は「戦略的パートナーシップ」と同じ意味ではないと指摘した。日中共同声明を見てみると、日本語の「戦略的互恵関係」は中国語でも「戦略互恵関係」とほぼ同じ表現になっている。だが、漢字よりストレートに意味を伝える英語では、"Mutually Beneficial Relationship Based on Common Strategic Interests"(共通の戦略的利益に基づいた互恵関係)となっており、戦略的利益に基づいて互恵関係を築くのだという感覚が伝わってくる。「パートナーシップ」よりも弱いニュアンスであり、日本に対する警戒感がのぞいているようにも見える。