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2008-05-28 21:51
(連載)胡錦濤政権の対日姿勢を考える(1)
佐藤考一
桜美林大学教授
2008年に入って、チベット暴動、聖火リレー問題、胡錦濤国家主席の訪日、四川大地震、そして8月に控えた北京オリンピックと、プラスにせよマイナスにせよ、中国関連の記事が毎日のように新聞の紙面を賑わしている。まさに「龍の季節」の到来であるが、肝心の中国政府の対日姿勢はどのように評価できるのだろうか。
胡錦濤主席は、5月7日の福田康夫総理との首脳会談と、5月8日の早稲田大学での講演の双方で、「日本政府は中国に借款を提供し、中国の近代化に積極的な役割を果たした」と自分の言葉で感謝の意を表した。早稲田大学での講演は、全文が中国外交部のウェブサイトに転載されたことから、一般の中国人の目にも触れたであろう。また、5月12日に発生した四川大地震では、15日に災害救助犬3頭を含む日本の緊急援助隊の派遣を受け入れた。現在は、負傷者の治療のための日本の医療チームを受入れている。中国側のマスコミが、日本の救助活動を報道したことで、インターネット掲示板等での中国側の対日観はかなり好転したと伝えられている。
中国政府の対応は、地震対策としては遅すぎたきらいはあるものの、2005年4月の上海での反日暴動などの際の粗暴でかたくなな対応を考えれば、率直に日本の好意を受入れ、それを一部でも国民に伝えた点は評価されてよいと思われる。災害に国境はない。日本政府は大いに協力して、苦しんでいる中国の人々の力になって欲しいし、中国政府との感情面でのわだかまりがなくなれば、東アジア協力の推進にも好ましい変化がでてくるだろう。もう少しお互いを信頼できるようになれば、領土・領海紛争や東シナ海のエネルギー問題などについての緊張緩和も進むかも知れない。(つづく)
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