2018年1月以降、数回に及び在中国米大使館の専門家達が同研究所を視察した経緯がある。その際、専門家達はコウモリに由来するコロナウイルスに関する研究を行っていた実験室での衛生管理や安全対策が極めてずさんであるとする二通の公電を2018年1月に国務省に通知していた。「同研究所の科学者達との対話を通じ、高度安全実験室を安全に管理する上で必要とされる適切な訓練を受けた技術者や調査官が極度に不足していることに気づかされた」と、2018年1月19日に二人の米専門家達が記していた。しかも第一の公電は特筆すべき内容であった。それによると、コウモリに由来するコロナウイルスがどのように人に感染するかに関する研究が行われているが、そうした研究は新型のSARSのようなパンデミックを引き起こしかねないリスクがあると警告する内容であった。これこそ新型コロナウイルスのことを意味するのではないかという推論を導くことになった。しかも米国内での爆発的な感染拡大が続く中で、『ワシントン・ポスト紙』報道を契機として、この可能性が急速に注目を集めだした。また4月15日に『フォックス・ニュース』は新型コロナウイルスの最初の感染は「中国科学院武漢ウイルス研究所」内で研究対象のコウモリに由来するウイルス株から何らかの事由で人間への感染が起こり、感染した人間が「0号患者」となり、同患者が武漢市の人口密集地に入り、そこでウイルスを拡散させたのではないかと推察されるとする報道を伝えた。(“Sources believe coronavirus outbreak originated in Wuhan lab as part of China's efforts to compete with US,”Fox News, (April 15, 2020.))