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2020-05-19 23:28
(連載1)今や経済政策の「禁じ手」もやむを得ない
真田 幸光
大学教員
私は自由主義者であり、また、「自らを自らが強いと思う人は、周りの人に優しく、逆に、自らが自らを弱いと思う人は、人を頼らず自力再生をすべきである」と考えている者です。しかし、新型コロナウイルスが引き起こしている、今の社会的混乱は、正に異常事態中の異常事態であり、このままでは、特に弱者は潰れてしまいます。今は、とにかく全ての人々が生き延びていけるように、平時に於いては、「禁じ手」と言われる対策であっても取るべきです。
いくつかある私の提言を友人の国会議員たちに伝えたところ、一部は具現化するとの回答を得ました。しかし、友人の国会議員たちから伝え聞いた行政の回答は、「そうしたことは既にやっている!」というものでありました。ですが、実際には給付金の緊急資金、俗に言われる、「真水の資金」は私たちには来ていません。国会議員の方々とその原因を探ったところ、「やっている!」と抗弁できるような通達を、監督官庁は末端の執行行政機関や政府系金融機関、民間金融機関に流してはいるようです。とはいえ、それは、具体的な仕組み、システムが示されておらず、ただただ、「通達通りにやって欲しい!」との要請をしているだけのものです。
この通達で、現場はむしろ、「大混乱」となっています。更に、私が提言をさせて戴き、具体化したいと答えていただいたものの進展がないものの一つには、「全ての債務に対する返済の一時的な猶予(返済を取り消す「徳政令」ではない)」、俗に言われる「モラトリアム」がありますが、それに関しても、監督官庁からの回答は、「既に民間金融機関には通達を出しているのでやっている」というものでありました。
そこで、いくつかの民間金融機関にヒアリングをしてみると、「基本は金融庁のホームページに示されている3月6日付け麻生大臣談話にある。その談話には、『既存債務について、元金・金利を含めた返済猶予などの条件変更について、迅速かつ柔軟に対応すること。』そして、その『取組状況を報告すること』」にあるとわかりました。そこで、金融庁のホームページを見てみると、「全ての債務者に対して返済猶予をしなさい」とは書かれておらず、「返済猶予等の条件変更をしなさい」と書かれておりました。しかも、その通達は強制力を持つ、「指示」ではなく、「要請」にすぎませんでした。(つづく)
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