東アジア共同体は、中国が中心となる枠組みとして日本政府は警戒しているようであるが、すでにみてきたように、日本を含めた東アジアの13カ国がすでにそのような方向を打ち出してきたのである。日本政府は、そこでは主導権を取れないと感じているのかもしれないが、もしそうだとしたら、それは日本が域外の国から独立した路線を取れないからに他ならない。そのようなことを背景に、日本政府は、昨年11月30日、麻生外務大臣が「自由と繁栄の弧」(”the Arc of Freedom and Prosperity”)を発表したのかもしれない。しかし、3月23日付け本欄で、石垣泰司教授が正しく指摘しているように、このコンセプトは東アジア共同体とは相容れない。