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2009-04-19 07:13
(連載)北朝鮮の行動の基礎にあるポイント(1)
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
およそ格言なるものには、簡潔で要を得たものが多いのだが、同時に相互相反するのも珍しくない。「善は急げ」と「急がば回れ」、あるいは「鳶が鷹を産む」「蛙の子は蛙」なんていうのは、その一例だ。北朝鮮の将軍様に対して「話せば解る」と楽観的に構える人はそんなに多くはないだろうが、さりとて「問答無用」といってみたところで、「それならどうする」という知恵らしいものが出てこないのも、これまた事実であってみれば、「泣く子と地頭には勝てない」と諦めるか、「百万人といえどもわれ往かん」と頑張るか。
そんな軽口をたたいてばかりもいられない形勢である。北朝鮮がなぜあんな愚行ともいうべき行動を積み重ねるのか。おそらくは、ご当人(たち)は愚行と思っていないからだろう。それは何故か。これまでの朝鮮問題専門家といわれる人々の分析を総合してみると、一連の行動の基礎にはいくつかのポイントがあるようだ。
一つは現体制への忠誠心の引き締めだという。国威発揚が体制の安定度を高める、というのは時代の如何、洋の東西を問わない。米国と対等に渡り合える(あるいは手玉に取る)将軍様というのは、その最たるものだろう。まして、いかに情報管制を徹底させても漏れ伝わる韓国の経済状態との対比で、国民に重要国策への資源重点投入をPRするには格好の材料だ。
二つには、見るべき輸出物資を持たない北朝鮮にとって、核技術の(ブラックマーケットを中心とした)販売というのは馬鹿にならない収入源だ、という。公表資料がないため推計値に過ぎないが、GDPが200億ドル前後、輸出額が10億ドル前後という経済にあっては、荒唐無稽という話でもなさそうだ。GDPの40%を軍事費に充てているといわれるこの国で、少しモトを取ろうと考えるのは、ありそうな話でさえある。
さらに、軍事優先の先軍政治は、政策意思決定に対する軍部の圧倒的影響(支配)力をもたらし、甚だしきは「将軍様は傀儡も同然で、実質的意思決定は軍中枢によってなされている」という人さえいる。軍部が政治を牛耳れば何が起こるかは、詳説の要はあるまい。(つづく)
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