国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2025-06-19 14:43

(連載2)日本文化を称賛するアメリカのZ世代

宇田川 敬介 作家・ジャーナリスト
 Z世代ということそのものよりも「日本のすばらしさというのは世代を超えて素晴らしいと思えるところがある」ということが重要なのである。つまり、すべての世代において「良い」と思うことが、日本では「普通」であるということが最大のよさなのではないか。ただし考えなければならないことは、その「良さ」は、多くの人の努力によって生まれているということではないか。
 
 記事の中にあったのだが、日本には「社会的に良くないことはやらない」という暗黙の了解があり、それに従っている日本人はクールであるというような評価がある一方、その空気が大切なことを発言する機会を奪っているというような指摘にもつながっている。日本人の中には「和を大切にする」というような感覚があり「個人の権利を充足するのではなく、和を大切にし集団の利益を最大にすることによって個人が同等にメリットを享受する」というような考え方があり、そのことによって個人の権利を制限するような雰囲気が存在する。その個人の権利を制限する雰囲気が、現在でいうところの「同調圧力」につながるということになる。
 
 これは外国人の若者から見れば「窮屈」とか「不自然」というように映るのかもしれない、しかし、一人の権利を見ればそうであるが、何か大きなものを開発したり、チームが一丸となって何か困難なことを成し遂げるということが必要な場合は、その内容が最も最大限になるようにできているということになる。ある意味で「小さな個人のメリット」を大事にするのか、または「大きな集団のメリットのために個人が我慢できるところは我慢する」ということを重視するのかということになる。個人の権利ということに関して言えば、確かに制限される。日本の場合は法制度にそのことが書かれていて民法第一条第三項には「権利の濫用はこれを許さず」とあり、権利だからといて、その権利を濫用して他人や集団(公共)の利益を害する場合は、その権利の乱用を許さないというような法制度になっているのである。
 
 そのような法制度を含めて、その内容がしっかりと書かれているということが、「日本のすばらしさ」、本文中にあれば「クール」というように映るのではないか。権利ということをどのように考えるのか、そして、個人主義ということをどのように考えるのか。21世紀になって、そろそろ日本人は改めて日本のすばらしさをしっかりと診なおす必要があるのではないか。(おわり)
  • <
  • 1
  • 2
  • >
>>>この投稿にコメントする
  • 修正する
  • 投稿履歴
(連載1)日本文化を称賛するアメリカのZ世代 宇田川 敬介 2025-06-18 14:32
(連載2)日本文化を称賛するアメリカのZ世代 宇田川 敬介 2025-06-19 14:43
一覧へ戻る
総論稿数:4731本
東アジア共同体評議会