ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2025-02-06 12:26
(連載2)ドルの基軸通貨を守ることの意味
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
さて、もう一つの関税が「武器としての関税」である。ある意味で、上記に書いた「懲罰的関税」が、武器として「警察の持っている拳銃」とすれば、同じ意味でBRICSや中国など「将来の敵国に対する関税」は「軍隊の持っている銃」ということになるのではないか。
BRICSは、新興市場として2010年ごろ以降アメリカや日本などが「投資」をした先である。しかし、これらの新興市場が、「投資による発展にかかわらず、中国やロシアという覇権主義国とともにいてドルの基軸通貨から抜け出る」ということを主張し始めた。もちろんその後ろには中国がいることはわかっているのであるが、同時にBRICSのすべての国が中国に対して甘い判断をしているということになる。そこで、「ドル基軸通貨から抜ける」つまり「人民元を基軸通貨にする」「中国の一帯一路の軍門に下る」ということは、中国の同盟国であり、それは将来の仮想敵国となるということを意味しているのであるから、すでにトランプ大統領の陣営として戦争の前段階の経済制裁を科すということになるのである。
日本ではこのような議論を売れば「経済に政治が介入している」などというが、では、中国と親密な関係になり、なおかつ、欧米の関係を薄くした結果、パキスタンもグワダール港を、スリランカはハンバントタ港をというように租借されて軍事基地化されてしまっている。ルワンダやギニアも同様な状況になっており、そのルワンダは隣のコンゴ共和国(旧ザイール)に戦争を仕掛けているということになる。そのようなことに危機感を感じて中国との関係を断ち切ろうとしたエチオピアのムガベ大統領は、クーデターを起こされてしまうというような状況なのである。政治に介入しているのは中国とアメリカのどちらであろうか。
日本やアメリカの一部の民主党びいきのメディアは、トランプ批判をする。これらの関税政策に関しても否定的なことばかりを言うのであるが、しかし、そのような「手荒な手段を使わなければならないようにしたのは、バイデン大統領の無策」ではないか。今回の関税にはそのような意味があるということをまずは見ておかなければならないであろう。(おわり)
<
1
2
>
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
(連載1)ドルの基軸通貨を守ることの意味
宇田川 敬介 2025-02-05 12:11
(連載2)ドルの基軸通貨を守ることの意味
宇田川 敬介 2025-02-06 12:26
一覧へ戻る
総論稿数:4690本
東アジア共同体評議会