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2025-02-05 12:11
(連載1)ドルの基軸通貨を守ることの意味
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
「トランプ大統領の行っている関税戦略」のなかで、日本にとっても影響力の大きな内容である「BRICSが独自の基軸通貨で貿易を始めようとしていることとその阻止に向けた関税」ということで、そのことから見るトランプ大統領の「本音」を見てみたいと思う。トランプ大統領は就任早々に20以上の大統領令にサインを行ったことはすでに様々なニュースで報じられている。その中には、既に実行されたものもあれば、実現は難しいもの、また観念的なものまでさまざまなことが含まれているが、その大統領令を見れば、トランプがこの先4年間でどのようなことをしたいのか、または、どの様なアメリカを目指しているのかということがわかるのではないか。その完成形は見えなくても、その方向性は見えてくるような気がする。
しかし、中には「(笑)」というようなものも少なくない。すぐにグーグルマップで実現したが「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に変えるというようなことなどは、その中の一つであろう。名称を変えても特に何にも変わらないが、しかし、彼が就任演説で発言した「常識の革命」ということの中に、これはかなり重要なファクターなのであろうと考えられる。さて、そのような「常識の革命」というような意識の革命的な内容とは別に、実効性のある大統領令が存在する。その中の一つが「関税に関する大統領令」であろう。
私の見るところ、トランプ大統領の「関税」には二つの意味がある。一つ目は「報復関税」である。「報復」というと何か違う意味にとられてしまうということであれば、「懲罰的関税」という事であろう。メキシコやカナダに関する内容が「懲罰的関税」であると解釈される。基本的にメキシコやカナダに関しては、陸上国境で接した隣国であり、そのことから、不法移民や違法薬物などが入ってくるリスクがありながらも、ほぼアメリカと同じような状況で考えられていた。しかし、トランプ大統領は、この二つの国に対して「国境をしっかりと守れ」ということを言い、それが守れないならば「守らせるように関税をかける」ということをしたのである。コロンビアなど「海上で国境を接した国」に対しても、「懲罰的関税」を広げつつあることに注目をすべきであろう。
これを「懲罰的」または「賠償的」というように言い換えてもよいのであるが、要するに、これらの国から様々な違法なもの(人を含む)が入ってくることによって、アメリカは治安が悪化し、その治安維持に経費が掛かることになる。同時に、その経費だけではなくその人を収監し、そして強制送還をするにあたっても金がかかるのであり、それは、それらの国の法律や経済政策がうまくいっていないからである。つまり、そのメキシコやカナダの国民を構成させる経費をアメリカが払っているのであるから、その分の応分の負担をすべきという理論に基づくことになる。野放図にアメリカへの不法入国を許し、マフィアの支配などに屈している政治に対して報復をしているということになれば、アメリカがその分を負担していることになという論理は、理解できないわけでもない。その野放図な政治に対する報復関税とか懲罰的関税であるということになれば、各国は政治をしっかりと行わなければならないということになるのであろう。(つづく)
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