12月14日に全米の各州政府において州政府選出の選挙人の投票が行われた。この結果、各候補が獲得した選挙人はバイデン候補が306人、トランプ候補が232人と「正式」に確定した。これにより、バイデン候補の次期大統領が確定したかの感があるが、その後、事態は少なからず流動化しつつあると言える。この間、大手メディアはこぞってバイデン候補の次期大統領就任を報道していることから、1月20日の新大統領就任に向けて政権移行が順調に進んでいるかのような印象を与える。他方、大統領選で起きた大規模な選挙不正について大手メディアは相変わらず一切報道していない。これに対し、「フォックス・ニュース」、OANN、NEWSMAXなど保守系メディアは大統領選での大規模不正とバイデン氏の次男ハンターの汚職疑惑を連日のように報道している。またこの間、共和党の連邦議員達は選挙不正について激しい批判を行っている。12月16日に開催された上院国土安全保障・政治問題委員会の公聴会において、ジョンソン(Ron Johnson)上院議員(委員長)は大統領選で大規模かつ深刻な選挙不正が行われたと厳しく追及した。(“Examining Irregularities in the 2020 Election,” U.S. Senate Committee on Homeland Security & Governmental Affairs, (December 16, 2020.))公聴会ではジョンソン委員長がピータース(Gary C. Peters)上院議員と激しく言い争う場面もあった。同公聴会に出席したトランプ弁護団のビナル(Jesse R. Binnall)弁護士はネバダでの不正について衝撃的な証言を行った。何と、優に13万件以上に及ぶ選挙不正がネバダで行われた可能性があると指摘したのである。公聴会後、ジョンソン氏は「米国民の大部分はこれが正当な選挙であったと考えていない。わが国にとってもはや看過できる状況でない」と言明した。(“Probing Election Irregularities,” Fox News, (December 16, 2020.))ジョンソン氏の言葉は誠に重い響きを持っている。
多くの米議員が大規模不正に怒りを表明しているだけでなく、米国民の怒りもますます高まりをみせている。12月上旬の世論調査ではトランプ支持者の77%が大統領選で重大な不正があり、共和党支持者の68%が選挙は盗まれたと感じている。この結果、大規模不正があったことは公然の事実となった感がある。その後、保守系メディアによる連日の報道を受け、米国民の不正に関する認識度はさらなる高まりを見せている。民主党支持者の1割程度が重大な不正があったと認識しているとされるが、実際には圧倒的多数がそれに気づいていてもあえて知らないふりをしているだけであろう。しかもここにきて不正に関する衝撃的な報告書が刊行され、その内容が議員や米国民に少なからずの衝撃を与えている。12月17日にナバロ(Peter Navarro)大統領補佐官は大統領選の不正に関し6つの観点から分析した「ナバロ・レポート」を公表した。(“The Immaculate Deception: Six Key Dimensions of Election Irregularities,” (The Navarro Report), (December 17, 2020.))36ページからなる報告書であるが、問題の6つの激戦州で勝敗を覆す不正が行われたことを明白に記している。6つの観点とは、1.明白な不正投票、2.投票の不正な取扱い、3.異議ある不正プロセス、4.正当な手続き条項により保証される権利に対する違反、5.投票機の異常発生、6.統計上の大規模異常などであった。