情報統制だけではない。世論調査を巡る統計操作も行われているのではないかという気がしてならない。統計操作は大統領選の世論調査に表れているような気がする。大統領選結果を予想する多くの世論調査が連日、更新されているが、世論調査会社による予想の多くが現実を必ずしも正確に反映していないのではないか疑問になる。米大統領選は全体で538の選挙人の内、270の過半数を制した候補者が当選するが、世論調査の多くがすでに270の大台をバイデン候補が超えているかのように伝えている。確かにバイデンが優勢であると言えば、それまでであるが、例えば、“Biden vs Trump: who is leading the 2020 US election polls ?”(Financial Times.)の予想ではバイデンが獲得するであろう選挙人数は279人、トランプは125人、接戦が134人となっている(10月23日現在)。“2020 Presidential Election Polls: Biden vs. Trump - 270toWin,”(270 to Win.)によると、バイデンの予想獲得数が290人、トランプが163人、接戦が85人である。(10月23日現在)“Presidential Poll Tracker,”(CBC News.)になると、バイデンの予想獲得数はなんと334人に膨れ上がり、トランプの獲得数は126人、接戦が78人となる。(10月23日現在)ここまでバイデン優勢予想が極端になると信憑性が疑われる段階を通り越してあきれてしまう。こうした中で、まだ穏当と言える予想は日本のNHKの「アメリカ大統領選挙20200」であろう。それによると、バイデンの予想獲得数が216人、トランプが125人、接戦は197人となっている。つまり、大統領選挙の勝者はまだまだわからないことになる。
上記の予想の幾つかから感じるのは何があってもバイデンが当選するのだという強いメッセージを読み手に送りたいのであろう。ただしそうした予想には相当危ういものがある。予想専門家が自身の希望的観測や願望で予測しているとすれば、あってはならないことである。しかも現実離れしている数字を見せつけられると、読み手側にわかられてしまう。それほど、露骨で偏向している。加えて、世論調査各社が行う州ごとの予想も必ずしもあてにならない。と言うのは、反トランプかつバイデン支持を公然と掲げる「ニューヨーク・タイムズ紙」など大手メディアも選挙予想を行っているが、信憑性は当然低くなると言うよりもそもそも信用ができない。大手メディアと委託契約を結ぶ世論調査機関の調査は知らず知らずにバイデンよりの統計を掲載する結果につながりかねない。中立・公正を掲げ正確な統計を掲載しようとすれば、契約を結んでいる大手メディアに嫌われてしまいかねない。そうした中で比較的信憑性が高いのは「リアル・クリア・ポリティス社」による“2020 - Latest Polls – Real Clear Politics.”でなかろうか。とは言え、同社の選挙予想でも目を疑いたくなる統計がないわけではない。