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2020-10-25 00:00
(連載1)米大統領選を巡るメディアの情報統制と統計操作
斎藤 直樹
山梨県立大学名誉教授
トランプ候補が接戦州で次第に追い上げる中で、大統領選はいよいよ佳境に入った感がある。一般投票の世論調査では依然としてバイデン候補がトランプ候補を10%近く離しているという予想が多い。とは言え、これはあくまでも一般投票の予想であり、大統領選結果を直接決定する州別の選挙人の獲得総数とは必ずしも直結しない。それにしても米国の大手メディアのほとんどが反トランプで凝り固まっており、そうでないのはほんの一部のメディアだけでなかろうか。確かに、大手メディアをそこまで反トランプに駆り立てるトランプ候補の言動にも少なからずの問題があろうが、メディア報道の多くが一方的に反トランプであると、中立・公正であるべき報道が偏向してしまい、事実と大きくかけ離れているのではないかと疑問に思えてならない。今、米国の報道機関で起きているのは反トランプで凝り固まった情報統制や統計操作でないかと疑いたくなる。後述するとおり、10月14日に「ニューヨーク・ポスト紙」により急浮上したバイデン親子の汚職疑惑を取り上げているのは「フォックス・ニュース」ぐらいで、バイデン支持を表明する大手メディアは一切報道していないようである。これはさながら情報統制の様相を呈している。2020年の米国で情報統制が起きているのであるから驚くべきでないだろうか。
情報統制だけではない。世論調査を巡る統計操作も行われているのではないかという気がしてならない。統計操作は大統領選の世論調査に表れているような気がする。大統領選結果を予想する多くの世論調査が連日、更新されているが、世論調査会社による予想の多くが現実を必ずしも正確に反映していないのではないか疑問になる。米大統領選は全体で538の選挙人の内、270の過半数を制した候補者が当選するが、世論調査の多くがすでに270の大台をバイデン候補が超えているかのように伝えている。確かにバイデンが優勢であると言えば、それまでであるが、例えば、“Biden vs Trump: who is leading the 2020 US election polls ?”(
Financial Times
.)の予想ではバイデンが獲得するであろう選挙人数は279人、トランプは125人、接戦が134人となっている(10月23日現在)。“2020 Presidential Election Polls: Biden vs. Trump - 270toWin,”(
270 to Win.
)によると、バイデンの予想獲得数が290人、トランプが163人、接戦が85人である。(10月23日現在)“Presidential Poll Tracker,”(
CBC News
.)になると、バイデンの予想獲得数はなんと334人に膨れ上がり、トランプの獲得数は126人、接戦が78人となる。(10月23日現在)ここまでバイデン優勢予想が極端になると信憑性が疑われる段階を通り越してあきれてしまう。こうした中で、まだ穏当と言える予想は日本のNHKの「アメリカ大統領選挙20200」であろう。それによると、バイデンの予想獲得数が216人、トランプが125人、接戦は197人となっている。つまり、大統領選挙の勝者はまだまだわからないことになる。
上記の予想の幾つかから感じるのは何があってもバイデンが当選するのだという強いメッセージを読み手に送りたいのであろう。ただしそうした予想には相当危ういものがある。予想専門家が自身の希望的観測や願望で予測しているとすれば、あってはならないことである。しかも現実離れしている数字を見せつけられると、読み手側にわかられてしまう。それほど、露骨で偏向している。加えて、世論調査各社が行う州ごとの予想も必ずしもあてにならない。と言うのは、反トランプかつバイデン支持を公然と掲げる「ニューヨーク・タイムズ紙」など大手メディアも選挙予想を行っているが、信憑性は当然低くなると言うよりもそもそも信用ができない。大手メディアと委託契約を結ぶ世論調査機関の調査は知らず知らずにバイデンよりの統計を掲載する結果につながりかねない。中立・公正を掲げ正確な統計を掲載しようとすれば、契約を結んでいる大手メディアに嫌われてしまいかねない。そうした中で比較的信憑性が高いのは「リアル・クリア・ポリティス社」による“2020 - Latest Polls – Real Clear Politics.”でなかろうか。とは言え、同社の選挙予想でも目を疑いたくなる統計がないわけではない。
同社も連日予想統計を更新しているが、同社が委託する調査機関によって予想にかなり幅があるのに驚かされる。しかもその幅を生んでいるのは調査機関独自の政治姿勢でなかろうかと思わざるを得ない。調査機関自体が反トランプ的傾向が強ければ、その予想も反トランプ色が強いものになりかねない。現実を正確に反映していないと思えるのが実は多いことに気付く。一例として、同社が行ったある事例を指摘したい。バイデン候補が優勢を続けるミシガンでの予想であるが、調査機関の“Trafalger”がトランプ1%優勢(調査対象期間10月11~14日)と発表すると、これに発奮したのか翌日に調査機関の“The Hill”は負けじとバイデン11ポイント優勢(調査期間10月12~15日)と発表した。こうなると、どちらかが真偽の怪しい数字を掲載しているのではないかと疑いたくなる。ミシガンでトランプが1ポイント優勢であるとする前者の統計も本当なのかと思いたくなるが、バイデンが11ポイント優勢と後者がしたのは明らかに度を越している。これでは統計に操作が加えられているのではないかと疑いたくなる。(つづく)
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