ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2007-04-30 11:37
連載投稿(5)北の核はなによりも日本の脅威
武貞 秀士
防衛省防衛研究所統括研究官
北朝鮮内部には、朝鮮人民軍と北朝鮮外務省の対立や、タカ派とハト派の対立があるようには見えない。核実験、ミサイル実験により北朝鮮内部に亀裂が生じたようには見えない。むしろ、「核実験によって米朝協議の必要性が増した」と北朝鮮外務省は主張しているので、軍事的緊張の高まりは北朝鮮外務省の役割を増やしたことになる。核開発の過程が内部の結束を高めるという展開になっている。「持つに至ったものをどうして放棄することがあろうか」という北朝鮮外務省高官の発言は、本音でもあろう。
北朝鮮には統一の手段としての軍事戦略があり、その中心に核兵器がある。核戦略を持って核開発をしてきたのであり、北の核には60年間追求してきた統一政策完成の意味がある。国家の至上目標を達成する究極の手段と位置づけているのだから、北朝鮮が戦略を変更するときは、戦略の条件が悪化するときだろう。核兵器を放棄しないと韓国からの支援が途絶えるとか、中国が経済、政治、軍事的に北朝鮮を見限るとか、米国が軍事オプションの行使に踏み切るといった場合である。それらは、起こりそうにないことが判明しはじめたところで、6カ国協議への期待が高まったのであった。
このような事態を日本は注視してきた。核弾頭の小型化が成功すれば、日本は北朝鮮の核兵器の直接的脅威に直面する。北朝鮮の核兵器は、遠く離れた米国、同民族の韓国よりも、日本にとって大きな脅威である。歴史的に見て朝鮮半島問題は、日本人にとって防衛問題であったので、北朝鮮の核問題解決が長引くのは、不安なのである。日米関係の強化、ミサイル防衛の前倒し導入などは、日本人の不安を背景にしたものである。(つづく)
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
連載投稿(1)朝鮮半島情勢のゆくえ―南北関係だけが進む
武貞 秀士 2007-04-26 18:26
┗
連載投稿(2)北朝鮮の最終的国家目標と核兵器開発
武貞 秀士 2007-04-27 21:30
┗
連載投稿(3)米の介入排除が北の核保有目的
武貞 秀士 2007-04-28 20:12
┗
連載投稿(4)北は南北合意による米介入排除を狙う
武貞 秀士 2007-04-29 09:26
┗
連載投稿(5)北の核はなによりも日本の脅威
武貞 秀士 2007-04-30 11:37
┗
連載投稿(6)求められる6カ国協議の実効性強化
武貞 秀士 2007-05-01 13:37
一覧へ戻る
総論稿数:4661本
東アジア共同体評議会