金正恩は、米朝首脳会談が開催されるまで段階的かつ同時並行的な非核化の取組みに対し周辺の関係国から理解を得ようと必死である。首脳会談決裂という事態に対処すべく金正恩も素早く動き始めたのである。こうして急遽実現したのが中朝首脳会談であった。習近平指導部の捉え方は朝鮮半島の非核化と半島の平和メカニズムを交渉を通じ同時に達成する「双軌並行」とされ、金正恩の段階的かつ同時並行的な非核化に近い。3月26日の中朝首脳会談において習近平中国国家主席と金正恩は「漸進的・同時的措置(progressive and synchronous measures)」に合意したとされる。金正恩の段階的かつ同時並行的な非核化に習近平は賛同したようにみえる。朝鮮半島の現状が突発的に変更するような事態は何としても回避したい習近平からみて、金正恩をして非核化に取り組ませながら半島の現状を維持することこそ、中国にとっての国益に叶うと習近平は判断していると推察される。この背景として北朝鮮の非核化の完遂は途方もなく難しいと習近平が認識していることがあろう。