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2007-02-25 11:39
アーミテージ・レポートの対中政策提案と日本外交
四条秀雄
不動産業
米国覇権の相対的な弱まりは、政治的地殻変動を引き起こしており、いずれ日本列島をも揺さぶることになるのではないかと思います。米ソ冷戦構造が崩壊したあと、ポスト冷戦構造は漂流をつづけていますが、そこで最終的に何が浮かび上がるのかといえば、それは第二次大戦前の構造ではないかと思います。中でもドイツが再々度覇権ゲームの表舞台に出てくるのではないでしょうか?
第二次大戦直前の時代構造はなんであったかというと、英仏米連合国と日独伊枢軸国の対立でした。この構造にソ連がバランサーとして加わることで最後の数年は動きました。第二次大戦は米国の圧勝だったのですが、よく調べるとそうでもなかったようです。ジョージ・ケナンは『アメリカ外交50年』の中で第二次大戦直前に関して述べていますが、連合国側は明らかに劣勢だったのです。というのは、ソ連が枢軸国側に重心を置いていたからです。日本の松岡洋右もそのように計算していたのでしょう。ですから、ドイツがソ連を攻めたときに、「奇々怪々」と言ったのでしょう。
現在のドイツは、戦前の戦略的弱点をほぼ克服しつつあります。ドイツ企業は欧州市場を手にし、ロシアとの戦略的なエネルギー交渉に乗り出しており、トルコ人を数百万人も国内に抱き込みました。ユーロ導入の時にシュレーダー独首相は小躍りしました。欧州共同体(EC)は紙の上の存在にすぎませんでしたが、欧州連合(EU)は通貨の上に存在しています。EU諸国内のヒト、モノ、カネ、情報、経済的資源の移動が一段落した時に、EUを支配するドイツは米国に準ずる地位を不動のものにしているでしょう。
ドイツがEUに取り込まれているのか、EUがドイツに取り込まれているのか判然としないように、陣営が国境線に沿って完全に分かれるという、戦前のようなことはないのですが、時代構造をリードする戦略的に重要な国は厳に存在し、そのランク分けは生じることになります。ドイツの覇権ゲームへの復権に注目しなければならないと考える理由です。
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アーミテージ・レポートの対中政策提案と日本外交
舛島 貞 2007-02-22 11:54
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アーミテージ・レポートの対中政策提案と日本外交
四条秀雄 2007-02-25 11:39
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