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2016-10-02 14:01
(連載2)臨時国会にあたりTPPの意義を問い直す
鈴木 馨祐
衆議院議員(自由民主党)
そして、もう一点は、戦略的な意義です。いずれ中国も含むアジア太平洋の自由貿易圏ができる可能性はかなり高いと思われます。その時に、日本やアメリカのルールに近い共通ルール、さらには法の支配や人権といった共通の価値がそのベースにあることが日本の国益、地域の安定の意味から極めて重要です。そしてその感覚は実は多くのアジアの国々で共有されています。
中国の一方的な覇権主義的な押し付けに辟易としている多くのアジアの国々からすれば、日米が主導したTPPに参加することは戦略的にも大きな意味を持ちます。さらに、TPPを梃子にして、アジア太平洋地域が、法の支配、人権、自由、民主主義といった価値を長期的に共有し、中国がその前提の下でそこに参加してくるという流れが、アジアや太平洋の地域の安定にとっても最善のシナリオです。
こうした多くの意義があるのがTPPです。もちろん、通商交渉という面もありますから、関税など貿易面で日本が100%すべてを勝ち取れるということはありません。50-50をどう上回れるかというギリギリの交渉を経済構造が異なる各国がするわけですから、痛みが出る部分もあるのは事実です。しかし、そうした部分への対策をきちんと国内法で担保する、そして、それを補って余りある長期的なメリットが外交面、戦略面、経済面であるのだという原点を我々は再確認することが必要です。
前の国会でも20時間以上にわたって様々な点の議論が衆議院の特別委員会で行われました。中身に関する論点は相当出尽くした感があったのも事実です。その議論の上で、この意義を確認したうえで、さらなる論点があればそれを議論し、出尽くしたところで結論を出す。そんな建設的な審議を今国会では進めていくことが、日本の国益を考えるうえでは最も大事だと思われます。(おわり)
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(連載1)臨時国会にあたりTPPの意義を問い直す
鈴木 馨祐 2016-10-01 10:37
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(連載2)臨時国会にあたりTPPの意義を問い直す
鈴木 馨祐 2016-10-02 14:01
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