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2016-08-19 10:22
(連載2)急速に厳罰化されている中国の環境規制
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
こうした法制化によって、環境規制を違反した企業や人には制裁金などの罰則も課されるようになった。またひどいケースの場合には、身柄を拘束することもできるようになった。違反の工場には生産制限や生産停止などの措置も取れる。法的にはこうしたことが可能な状況は作られてきたのである。しかし、それでも従わない企業も少なくなかった。抜け道をなんとか探すのである。
7月28日付のロイター(デジタル版)によると、7月27日に中国環境保護省は、今後、規制を超える排出を行ったり環境面での認可を得ずに工場を建設した企業について、金融や土地利用制限など厳しい処罰の対象にすると発表した。中国環境保護省はウェブサイトに通知を掲載した。法律の整備をこれまで行い、これからはそれを厳しく適応するという強いメッセージだ。あれだけ汚染物質を垂れ流しにしていた企業を一気に規制できるのか、という疑問は残る。
しかし、どうやらその不可能にも見えることを実際にやろうとしているようだ。日系企業も迅速に対応することが求められる。欧米並みといいながら、部分的にはそれよりも厳しい数値規制があるものもある。日本や欧米企業でさえ、クリアするのに大変な努力が求められるものもある。中国の今の環境技術だけでは、とうてい解決しない状態になった。ここまで中国政府が本気なら、環境技術のある日本企業には大きなチャンスが到来したと言える。環境技術をやみくもに中国に渡すのは得策とは言えない。相当な試行錯誤と資金と努力で手に入れた技術だ。
しっかりとした技術ライセンス契約を結んで、主要な技術は保護する必要がある。知的財産権を守りながら、ウインーウインの関係を築くことができるかどうか。環境改善の事業は、悪化してきた日中関係を改善する一つの共同事業になるかもしれない。中国の土壌、地下水は相当に汚れていると考えられる。法的な整備は一気に出来るのかもしれないが、実際に浄化していく作業は数十年の単位の長期戦になりそうだ。(おわり)
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児玉 克哉 2016-08-18 19:23
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児玉 克哉 2016-08-19 10:22
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