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2014-04-02 20:24
(連載2)世界の「割れ窓」が増えている
高畑 昭男
ジャーナリスト
ゲーツ元国防長官は最近出版された回顧録の中で「オバマ氏とその側近たちは軍を信頼しようとしない」と指摘している。確かに大統領はシリア問題でも土壇場で心変わりして軍事介入を見送った。今は目先のアフガニスタン撤退しか眼中にないようだ。ケリー国務長官やライス国家安全保障補佐官など2期目の外交安保チームに対しても、「B級チーム」と揶揄する声が米国内にある。直近のウクライナ問題の対応では、冷戦時代の対ソ連外交を誤ったカーター政権と比べて「カーターのほうがまだましだった」という厳しい指摘が出ているのが現状だ。
3月中旬、日本で同じ日に報じられた米国防総省の「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)と、中国の2014年国防予算も対照的だった。QDRが「アジア太平洋重視戦略を堅持する」と明言しているのは当然だが、強制予算削減のあおりを受けて肝心の国防支出が目減りする流れを止められない。一方の中国は、米側の決意や財源の欠如を見越したかのように、国防費2けた増の勢いを一段と強めつつある。
楽観的想定をあてにした備えの甘さ、後手に回った対応、非力な対抗措置などウクライナ問題で露呈したオバマ政権の対応は日本の安全にも不安な影を投げかける。これがクリミアでなく、中国による尖閣諸島への軍事侵略だったら、米政府は同じように軍事的対抗措置をとらずに「話し合い」や経済制裁ですませようとするのだろうか。
「正義なき力は暴力であり、力なき正義は無力である」という言葉がある。今回でいえば、前者はプーチン政権に、後者はオバマ政権の対応にあてはまる。こんなプーチン流が通るなら、日本の北方領土も永遠に帰ってこないだろう。大国間の軍事衝突を防ぐためにも、強力な牽制・抑止力の充実強化と毅然とした対応が欠かせない。力による領土領域の変更を許してはならない。安倍晋三政権は米欧と緊密に連携しつつ、ロシアや中国の行動を厳しくとがめていく必要があると思う。(おわり)
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高畑 昭男 2014-04-01 15:51
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