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2013-10-01 11:33
(連載)オバマ氏の「アマチュア」外交(2)
高畑 昭男
ジャーナリスト
奴隷解放を掲げたリンカーンはおびただしい犠牲や国論の亀裂にもかかわらず、時には議会を無視して南北戦争を断行した。それなのに、オバマ氏は進んで議会の承認を求めることで責任の拡散を画策したようにみえる。議会の支持や支援を得ること自体は間違っていない。第一次湾岸戦争のブッシュ父、アフガニスタン、イラク戦争のブッシュ前大統領も、事前に議会の容認決議を取りつけた。だが、それらは最高決定権者の責任の拡散や回避を狙っての行動ではなかった。
米メディアによると、オバマ氏はキャメロン英首相が議会で武力行使容認決議を否決された直後に決断を翻し、「議会に一層の説明責任を持たせて、大統領への政治的批判をそらす」(ブルームバーグ)ことに着目したという。1週間前には「有志連合」方式で攻撃計画を練り上げ、「8月末にも攻撃」との緊迫情報をメディアにリークさせていたのだから、「側近も驚く心変わり」と呼ばれてもやむを得ないだろう。
オバマ政権は2年前のリビア介入の際にも「後方から指導する」(リーディング・フロム・ビハインド)という怪しげなドクトリンを示し、「米国の指導力を放棄するものだ」と批判された。批判や嫌われることを恐れて前面に立たないというのでは、超大国にふさわしい指導者とはいえまい。イラク戦争を決断したブッシュ氏もブレア英元首相も、自らの回顧録で「全ては私が責任を負う」と記している。彼らに比べてオバマ、キャメロン両氏は度量が小さく、アマチュアの稚拙さも目立つといっては言いすぎだろうか。
シリアを含む中東情勢は日本の国益にも大きく響く。米国が中東でもたつけば、それだけアジア太平洋で力ずくの海洋覇権をめざす中国を利することになる。安倍晋三首相は、日本の安全や同盟強化のためにも米英などの盟友をしっかりと励まし、アジアの平和を確保する外交を展開してもらいたい。(おわり)
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(連載)オバマ氏の「アマチュア」外交(1)
高畑 昭男 2013-09-30 13:10
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(連載)オバマ氏の「アマチュア」外交(2)
高畑 昭男 2013-10-01 11:33
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