オバマ大統領(1月27日)と鳩山首相(29日)の施政方針演説を、短期間の間に両方聞くことが出来た。両者の演説の内容と質の比較は、この際控えることにする。オバマ大統領は希有の演説の名手であり、彼がこれまでに行なった演説の数々は、彼を無名の一議員から大統領にしたし、一人のアメリカ大統領から、非核世界に向けての旗手にした。今回の State Of The Union の演説にしても、国内事情多事の折を受けて、「内向き」の批判は受けたものの、絶妙の話術とその内容には、舌を巻くものがあった。それにしても、いつも不思議に思うのだが、演説原稿を手にしていたことがない。プロンプターがあるようには見えないし、1時間に及ぶ演説内容を完全に諳んじているのだろうか。だとすれば、それほどまでにパブリック・アドレスというものの重要性と影響力を認識している、ということだろう。前にも述べたが、「巧言令色鮮きかな仁」という風土からはなかなか出てこない文化だろう。