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2009-04-06 10:58
(連載)「飛翔体」とはなにごとか(1)
花岡 信昭
ジャーナリスト
北朝鮮がついにやってくれた。待ちに待った、などというとおかしなことになるが、日本上空を「無事に」飛び越えてくれたのだから、麻生首相はじめ日本政府当局者の安堵感はひとしおだろう。めでたし、めでたし、である。などというのは、数日遅れのエイプリルフール感覚での表現であって、まともにいえば、けしからんこと、このうえもない。大気圏外とはいえ、日本上空を飛び越えていくなど、古女房が夜中にトイレに行くのに、亭主の頭をまたいで平気、といったシーンと同じくらいにけしからんことだ。ところが、この亭主もだらしなくて、そういう女房をどやしつけられない。
前日の「誤探知」に続いて、またおかしなことが起きた。政府は当初「11時半打ち上げ、第1段が日本海(秋田西方280キロ)、次が日本の東1270キロの太平洋上に落ちた」と発表したが、この2段目が分からなくなった。2100キロまでは自衛隊が追尾していたが、その先は追尾を終了したので、不明だというのである。いったい、どこまで飛んだのか、本当に人工衛星だったのか、衛星打ち上げに成功したのか、そのあたりをはっきりさせてもらいたいものだ。
いずれにしろ、日本政府は「弾道ミサイルに関するすべての活動の停止」を求めた国連決議に違反するとして、厳重抗議の姿勢だ。当然といえば当然で、日本独自の経済制裁措置の延長、強化など、あらゆる強硬な対応を取るべきだ。そこで、かねていやな言葉だなあ、と思っていたのが「飛翔体」である。北朝鮮側は人工衛星だといっているから、弾道ミサイルとは呼ばないようにするということらしい。政府の呼称はこれで統一されているし、メディアではNHKがそうだ。
人工衛星であったとしても、大陸間弾道ミサイルに転用できるのだから、世界を揺るがす軍事的脅威であることに変わりはない。ここは、ミサイルと呼べばいいではないか。「飛翔体」という言葉には、なんともいえない、へつらい、媚びが、にじんでくる。「飛翔体」と呼べば北朝鮮は軟化するかもしれないと踏んでいるのだとすれば、これまた甘すぎる。向こうはせせら笑っているに違いない。(つづく)
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花岡 信昭 2009-04-06 10:58
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