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2009-04-05 07:14

(連載)現代日本の直面する六つの危機(2)

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 第五は急速な高齢化とそれに伴う人口減少。これは3500年に日本の人口は1人になる、というブラックジョークのような問題としてだけではなく、年金問題の将来、あるいは移民に対する考え方といった基本問題に対する、先送りの態度のつけが早晩回ってくる、という意味でもある。

 そして最後に、国際社会における日本の地位だという。特に中国に対してどのように対峙するかという問題は、単に日本人が自らをどのように考えるかというレベルを超えて、さらには国際社会が日本の存在を無視(Japan passing)してもよいという事態さえ超えて、中国の勢力範囲の一部としての日本という事態さえ招きかねない問題だという。

 ストックウィンは、これらの危機が自民党長期政権と深く関わっていることを認めつつも、反面それが長期的視野を可能にしたり、健全な社会を構築する上で力あったことも事実だとする。一党支配が不可避的に伴う腐敗の問題とか、官僚制の機能再検討がおろそかになる、といった副産物を余儀なくさせたにしてもである。

 さて、「近い将来に政権交代は発生するのか」という問いには、学者らしく慎重に「どちらとも言えない」というに留まった。いわゆる「日本論」にありがちな「特殊」論でもなければ、「日本万歳」論でもない。平易な表現で日本を観察している態度には好感が持てた。特にこの六つの問題点をめぐっては、いわゆるマニフェストの中に各党がそれぞれの立場を明確にすれば、これは第二の問題点に自ずから答えることにもなろうと思われた。この学究が第五版を出すとき、新たにどのような章が加筆されるのだろうか。その事態は今年後半には発生していることになる。(おわり)
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