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2008-12-21 17:25
(連載)「審議会」「調査会」の類の弊害(1)
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
『日本経済新聞』の「私の履歴書」は、功成り名遂げた方々の自分史なのはご承知の通り。よって、あまり面白い読み物である場合は少ないが、経済学者の小宮隆太郎氏の12月17日掲載分は実に痛烈で、久々に溜飲の下がる思いであった。中央省庁の設置する審議会・調査会の類いについての忌憚ない意見が述べられている。少し引用させて頂くと、「私は『審議会とか調査会というのは、審議とか調査をする場ではない』と悟った。国会が本来の役割を果たしていないので、ああいう妙なものがはびこるのだ。役人の隠れみのであり、業界の既得権益を守る道具であり、一部の学者・マスコミ人の虚栄心を満たすものだと思った」と、言い得て妙。誠に間然とするところがない。
「役人の言い分にお墨付きを与える」という機能に陥りがちな、この種の委員会の弊害を明快に指摘している。政策策定や基本方針をこんなものに依存していることの危険性と愚かしさを端的に表現している、というべきであろう。さればこそ、フルタイムのシンクタンク機能を持った組織が必須な訳で、「国会が本来の役割を果たす」、つまり政治家がイニシアティブを取ってこうした政策策定のプロ集団を組織することの必要が、余すところなく表現されている。
もっとも、「全ての委員会の類いがこうしたものばかりではない」というのは、公平の見地から付言しておいた方が良いだろう。その一例が、今回の公益法人制度改革に際して設置された公益等認定委員会である。今回「制度改革が、改革どころか、改悪である」ことについては、たびたび指摘した。そのうちの一つである「収支相償」、つまり「公益事業を行う組織は、支出を超える収入を得てはならない」という愚かな規定について、10月10日に開催された第40回委員会は痛烈にお役所の提案を批判し、葬り去った。そもそも「収支とんとんか、赤字基調が、組織のあるべき姿だ」という話の非現実性については、詳説の必要はないだろう。それを糊塗するために、「単年度では黒字が出ても良い。しかし、それは次の年には使い切るべし」とするお役所の弥縫的な論法を、この委員会は良識を持って粉砕した。(つづく)
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