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2008-08-30 09:56
(連載)雁行形態の終焉(2)
入山映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
一つは、いうまでもなく位置エネルギーに拘泥し続けるお役所の無策と、それに対して指導力を発揮するどころか、助長さえしているかにみえる政治の貧困である。依然として旧来の手法や価値観から脱却していない、それどころか、ますますその方向への回帰を強めている、日本の政・財・官への痛烈な批判が深川氏の念頭にあるのかどうかは、少なくとも明示の形では示されていない。
だから、これを深川氏の指摘するところだと強弁するつもりはない。しかし、少なくとも現状打破のプライオリティを誰が、いかに示しうるか、という論点の提起であると読むことは出来るように思う。その主体が、お役所の作文ではあり得ないことを自明の視点とした上で、と付言しておこう。それこそは大きな政府でも、小さな政府でもない、第三の途に連なると思われるのだが。
そして第二に、しかし実はこの方がもっと深刻なのだが、拝金主義の変形ともいうべき、実体経済を離れたカネ自体の経済目的化を体現する短期資本の移動にいかに歯止めをかけるか、そのために実施可能な政策はどこにあるのか、という点だろう。相場動向そのものは、高止まりであろうが、原点回帰であろうが、いづれ落ち着くところに落ち着く。問題はその間のタイムラグが破壊的な影響をもたらすのをいかに極小化できるか、という知恵のように思われる。万能薬のような解決策がある筈もなく、幾つかの手段の複合になるのは明らかだが、それさえも議論の俎上に上がらない日本の政治状況はいかがなものか、という点で深川論文に回帰する。(おわり)
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