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2008-05-09 23:15
胡錦濤主席訪日と残された今後「2箇月の猶予」
櫻田淳
東洋学園大学准教授
「暖春の旅」と表現された胡錦濤主席の訪日は、外交イヴェントとしては無難なものになりそうである。中国政府のチベット情勢への対応、世界各地で開かれた北京五輪聖火リレーにおける混乱の風景は、確かに日本国内における胡主席歓迎の気運に水を注したとはいえ、訪日の日程それ自体は恙なく消化されている。無論、日中首脳会談に際して、福田康夫総理が強い対中姿勢を示さなかったことに不満を漏らす向きはあるかもしれない。けれども、こうした首脳会談の場は、「論争」の場ではない。
ところで、2ヵ月後、7月上旬に開催される洞爺湖サミットには、日程最終日の「拡大対話」に胡主席も招待されている。この「拡大対話」での議論は、「環境」に集約されるのであろう。けれども、それとは別に、サミット参加8ヵ国の政治指導者が胡主席を迎える空気がどのようなものであるかは、中国の国際社会の中で占める位置を占う上で注目に値しよう。たとえ、此度の胡主席来訪に際して、福田総理以下の日本政府は、「極東の隣国」として主席を親和的に遇したかもしれない。けれども、主要国首脳会議の場では、「西側の国家」としての姿勢を鮮明に打ち出しつつ、中国の「責任ある大国」としての具体的な証を求めることになるのであろう。日本は、東アジア大陸に隣接した「極西の国」という相貌を持つ。日本は、最後の最後まで中国を庇うわけにはいかないのである。
故に、洞爺湖サミットの議場で胡主席が座ることになるのが、「柔らかい座布団」なのか、それとも「針の筵」なのかは、チベット情勢に関して、サミット参加8ヵ国を含む「西側の国々」の納得する落着の仕方を中国政府が示せるか、ということに掛かっているといえよう。そのために残された2ヵ月の間に、中国政府がどのように手を打ってくるのか。このことを冷静に注視することが、大事であろう。
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