世界各地の市場で「最高級品」の代名詞にまで昇華させた "Made in Japan"のブランド製品を築きあげてきたのは、日本の技術者であったが、かれらのプライドを失墜させ、アイデンティティ・クラッシュを引き起こしたのは、バブルの崩壊であった。企業側は、アメリカ型の株主・株価優先の波にあおられ、利益率優先の選択をした結果、第一線の技術者を大量にリストラした。その結果、技術者の企業への帰属意識が希薄になった。そして、それまで第一線で日本企業の発展を支えてきた多くの技術者が、韓国・中国などの企業へ流れていった。90年代の韓国の急進や現在の中国の技術発展の基礎になっているのは、彼ら日本人技術者が影にいたことを忘れてはなるまい。