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2024-11-30 23:56
(連載2)ヨーロッパで不信感を持たれた「一帯一路」
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
この問題の裏には様々な「中国に対する不満」が隠れている。一つ目は「債務の罠」である。実際にこの駅の金額に関しては中国政府またはアジアインフラ投資銀行がセルビアに貸し付けているということになる。日本の場合はODAでこのようにしたとしても、その支払いが免除されたり、あるいは金利が付されていなかったりということがある。しかし、中国の場合はしっかりと金利を付すばかりではなく、その金利が変動して、契約通りではなくなる場合が少なくない。日本のODAなどの場合は「作ってくれてありがたかった」というようになるが、中国の場合は「借金を背負わされた」というような感覚の方が大きい。
そのような感覚になってしまうのは、「その場にそぐわない」または「周辺とレベルがあっていない」施設が出来上がってしまう。もちろん橋梁や港湾など、あまり周辺の施設と関係のないものであれば、最先端の技術を使ったモノを作り、便利になって何十年たっても、古くならないような設備をつくったほうが良い。しかし、駅や空港の様に一般の国民が利用する場合は、あまりにも最先端の設備を作っても意味がない。よく、日本のマーケティングなどでは「半歩先に行った商品を作れ」というようにいうのであるが、あまり先端すぎると、利用者の方が全く理解できないものができてしまうということになってしまうのである。そのうえ、デザインなども周辺と全く異なる内容になってしまうということになる。
そのうえ、「不良品」である。インドネシアの高速鉄道も全く動かなくなってしまうし、ベトナムの橋梁も開通式の日のうちに崩落する事故があった。ラオスでがダムが決壊するということになってしまい、大事故になっている。これらの事故に関して全く中国は資料を開示しない。そのうえ、作り直しや修善はすべて別料金となっている。要するに「借金だけ押し付けられ、工事はすべて中国企業が利益を上げて行って、そのうえ手抜き工事で不良品をつかまされ、修繕などはすべて追加で料金を必要とする」という、かえって損失が大きくなり、また被害まで出てくるということになる。そのうえ駅が使えなくなって、犠牲者が出ているのである。
このような状態でヨーロッパでも、もちろんほかの国でも中国が信用されるはずがない。実際に、アジア通貨危機の時も東南アジアで排斥されたのは中国人であり一部の国では、中国人というだけで虐殺された人も少なくない。要するに「相手に借金を押し付けて、おいしいところや経済的な利益はすべて中国人が持って行ってしまう」ということが最も大きな問題である。もちろん唯物主義なので、「信用」などという目に見えないものではなく、金銭という即物的な内容しか見えてこない。それが中国人なのであるが、そのような態度に、元ワルシャワ条約機構で共産主義国家であった東ヨーロッパであるセルビアでも反感を買っているということになる。当然に、このような中国の人々は、政治の上層部を買収している。これはアフリカや東南アジアでもおなじみである。そしてその買収された不正が明らかになることによって政治不信、場合によってはクーデターが起きるのである。今回の事件もそのようなクーデターそして中国離れが起きる可能性が高い事案ではないか。この数千人規模のデモが、どの様に発展するのかということが注目されるところである。まあ、中国が世界で嫌われているということは間違いがない事実の様である。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)ヨーロッパで不信感を持たれた「一帯一路」
宇田川 敬介 2024-11-29 23:55
(連載2)ヨーロッパで不信感を持たれた「一帯一路」
宇田川 敬介 2024-11-30 23:56
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