アメリカ女性の政治への見方の変化のダイナミクスは以下の通りだ。若年女性のリベラル傾倒現象は、アメリカでの2015年の同性婚合法化やトランプ前大統領の政治家としての台頭を皮切りに、翌年のヒラリー・クリントン氏の初の女性としての民主党大統領候補推薦の獲得、2017年の#MeToo運動、2020年のパンデミックと大統領選挙戦や2022年のRoe V. Wade判決の逆転による中絶の憲法上の権利からの剥奪、そして2024年のトランプ氏の再推薦の時期と重なる。パンデミック下でのアジア人へのヘイトクライムやジョージフロイト事件は社会不安を扇動し、人種間の軋轢や銃規制に関する政治的な注目が高まるきっかけとなった。そこにソーシャル・メディアが若年層に対して政治について学んだり自身にとっての政治的な重要課題を認識したりする機会と場を与え、若者の政治への関心の高まりと連帯を容易にしてきた背景がある。最後にこれらのデータより、今回の選挙戦時期で若年女性が懸念を抱き、政治に解決を求めていると明らかになった課題は、上述の銃規制と人種差別への抵抗に加えて気候変動と中絶の権利であることが判明した。