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2022-08-31 12:39
(連載1)火器管制レーダー照射の「指針」の背景
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
文在寅前大統領の時代、韓国の艦艇や航空機が日本の哨戒機や偵察機に対して火器管制レーダーの照射をたびたび行っていた。これに対して日本政府は、当時の防衛大臣が韓国に対して強く抗議をするなどをしていたが、韓国がその極めて危険な行為を止めることはなかった。特に竹島周辺での威嚇では、韓国が自衛隊に対して「一触即発」という状況を作り出し、さすがのアメリカも座視できないほどであった。
このようなことがなぜ起きたのか。韓国海軍の駆逐艦による「火器管制レーダーの照射」は、攻撃のプロセスにおいて、「後、引き金を引けば実弾が発射され、海自哨戒機はたちまち撃墜される」ステップである。当然、「照射の次」に至れば日本の対応次第で、日韓関係が容易に「戦争」状態にエスカレートしうる極めて冒険的な行為でもある。日本は中国や北朝鮮との間も問題を抱えているにもかかわらず、自衛隊が日本海で韓国という国によるこのような極めて危険な試みにさらされるということが日常的に起きていたことは重大な安全保障上の問題である。日本はその韓国の「強硬姿勢」に対してこれ以上ないほどに問題視していた。当時の安倍晋三政権は、この事やフロンのイランへの横流しなどの「実績」から、韓国に対する「貿易ホワイト国扱い」を停止した。同時に韓国の首脳との外交交渉を基本的には行わず、「韓国政府は相手にしない」ことを継続していたのである。これにより、韓国は経済的に対日輸出入に支障が出るだけでなく、外交的にも文在寅政権は行き詰まる形になった。そのうち、頼みの中国との関係も悪化し、経済的には文在寅政権は行き詰まりが明白となっていった。文在寅政権は、サムスンやロッテなどを「不正疑惑」で吊るし上げることで国民感情のガス抜きをし一時しのぎをしたが、そのような対応は、韓国経済の根本的な脆弱性の根治をするよい機会だという事実からは目を背ける行動であった。
さて、韓国の対外関係において、アメリカとの関係も、また日本との関係も悪化させるという外交は、基本的に「韓国の民主主義陣営(旧西側陣営)からの孤立」を意味している。もちろん韓国でもそのような外交的な見通しがあったのだが、ではなぜそれにもかかわらず、「火器管制レーダーの照射」をしたのであろうか。単純に「日本が嫌い」というだけではないのではないだろうか。
問題化した当時「駆逐艦の艦長などの現場が勝手に行ったのではないか」というような憶測があった。普通、武器の使用は、国に状況を連絡し武器の使用許可を得るものであるが、緊急性がある場合は、現場の判断によって武器の使用が認められるとされているからだ。つまり、韓国の駆逐艦が「急迫不正の侵害」を感じたということであれば、火器管制レーダーの照射を行っても不思議はない。これまでは、「国家としての判断か、艦長個人の判断によるものなのか」グレーであったため、そういう「好意的」な受け取り方をすることも可能であった。(つづく)
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