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2022-08-02 09:07
(連載2)アメリカは景気後退か
岡本 裕明
海外事業経営者
ただ、ロシアが欧州向け供給量を減少させているガスが今後の資源価格の最重要指標になりそうです。ガス価格は引き締まっており、本来は夏で注目度が下がるガスが原油より市場では着目されています。ガス需要が逼迫すれば原油価格は想定ほど落ちず、ある程度の値を保つ可能性はあります。それでも旅行シーズンはあと数週間で終わりですのでガソリン需要もピークアウトとなり、さほど強気になる話でもないとみています。とすれば最後は労働力です。結果としてこれが政策的に失敗した気がします。貯蓄率をみると政権が小切手をばら撒いた時に30%以上の貯蓄率になるも激しい変動ののち、21年7月に10.5%を付けた後、漸減、5月で5.4%で近年まれに見る低さです。長期の平均が8.9%ですので消費者が必要以上に使い込んでいるのが見て取れます。これを物価高に伴う一般庶民の赤字キャッシュフローとポストコロナで旅行などに消費が向いている両方ではないかとみています。
一方、この赤字キャッシュフローを埋めるために労働者はコロナ回復で高給が提示された大手のハイテク企業などに雇用先を見つけました。が、問題はその雇用先にありました。いわゆるハイテク企業はコロナ末期の旺盛な需要に対して雇用を増やしすぎたのです。ところがその後、見事に業績が収縮し、それらの企業では解雇の嵐となります。つまり多くのハイテク企業やアマゾンのようなEC関連企業が継続するとみた消費欲が続かなかったわけです。併せて企業側の投資欲も減退したというのが私の見方です。この雇用のミスマッチ解消のため、統計では相殺されたお尻の数字しか見えないものの、雇用の大幅な入れ替えが起きているとみています。賃金の上昇率も明らかにピークアウトしているため、今後は収入増のペースが落ち、物価高や消費欲を吸収できず、家計はタイトな状況が続くとみています。
一方、パウエル議長は想定通りの0.75%の利上げを実施したものの、この先についてはデータ次第とし、予想を避けています。多分、それぐらいこの先の行方が読みにくいのでしょう。「次のFOMCまで8週間あり、その間に消費者物価指数と雇用統計がそれぞれ2回あるし、それ以外の重要な経済統計の発表もあるからそれを見て判断する」と28日に述べているところからすれば春先の強気姿勢は打ち消されています。
現時点で9月の利上げ幅の予想をするのは無意味に近いのですが、私は0.50%か0.25%のどちらかになるとみています。市場は0.75%から0.50%の予想ですが、私は上述の流れから見てもっと弱気な予想としています。7-9月のGDPはプラスに転換すると思いますが、弱々しさが残るような展開を見込んでいます。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)アメリカは景気後退か
岡本 裕明 2022-08-01 15:29
(連載2)アメリカは景気後退か
岡本 裕明 2022-08-02 09:07
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