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2007-08-14 11:32
連載投稿(1)南北首脳会談にみる朝鮮半島問題の「コリア化」
武貞秀士
防衛省防衛研究所統括研究官
先日、南北朝鮮が首脳会談合意を同時に発表した。朝鮮半島問題の「コリア化」が進みつつある。「コリア化」とは、6か国協議などの多国間協議の枠組みでの話し合いで朝鮮半島問題が解決に向かうというよりも、当事者である南北朝鮮の話し合いで基本的な流れが決まることである。具体的にいうと、6か国協議の作業部会で核施設の放棄の手順や平和のメカニズムの協議が議論される前に、南北対話の場で、朝鮮半島の緊張緩和問題、信頼醸成措置の項目、北朝鮮への食糧・エネルギー支援問題、休戦協定の終焉と平和レジームの論議が進み、それが6か国協議の中身に影響するという展開になりつつある。
韓国の現政権は南北首脳会談を、2003年2月の政権発足当初から準備してきた。昨年来、韓国政府は首脳会談開催協議のために平壌に密使を送り、調整をしてきた。今年7月以降は、大統領府報道官、統一省長官らが、首脳会談開催について明言するようになっていた。韓国側が熱心だったので、第2回首脳会談も平壌での開催という形になった。
韓国は1990年代以降、北朝鮮問題で韓国の役割が限定されたものであることに、満足していなかった。いま、北朝鮮の核施設の範囲をめぐっては、各国の間で解釈が違っているし、エネルギー支援の分担問題が順調にいくのかどうかは微妙である。6か国協議が続き、米朝協議も続く。必然的に米国の役割は大きくなる。韓国としては、ここで南北首脳会談を開催して、平和レジーム論議、休戦体制の終結問題、北朝鮮への食糧・エネルギー支援問題では、韓国が主導権を確保したいと考えたのである。2月13日の合意で、韓国が北朝鮮への5万トン重油支援を引き受けたのも、韓国の主導権を意識してのことである。(つづく)
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連載投稿(1)南北首脳会談にみる朝鮮半島問題の「コリア化」
武貞秀士 2007-08-14 11:32
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武貞秀士 2007-08-15 09:52
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