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2021-09-02 15:46
韓国映画「白頭山大噴火」を見て思う
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
韓国映画「白頭山大噴火」が今東京で上映中だ。あまり映画などご覧にならない方もおられると思うが、もしお時間があればぜひご覧いただきたい。一緒に見た知人は、ところどころ退屈したと述べていた。通俗もの特有のだれるところも大ありだが、筆者は、それぞれの国が真剣に生きている。そのことだけでも平和の中に慣れてしまっている日本人が、こうした映画のような疑似体験ででも味わうことが大切なのではと考える。内容はネタバレになるので詳細は避けるが、北朝鮮と中国の国境の白頭山の噴火、これにより、北も南も地震などで大惨事となる。この大噴火を止めるために、韓国の特殊部隊が活躍するという通俗的な物語ではある。しかし、画面、セリフなどに読み取れるそれぞれの場面は、リアルで真剣みも感じられる。今回、韓国がアフガンからの自国民やアフガンの協力者救助を他の西側の中でも優れて上手にやったことも読み取れる。軍の活動に韓国軍はこの20年間深く関与しており、その点、日本より優れた情報収集がなされていたこともよくわかる。
筆者が心配なのは、いま日本では、「韓国というとすぐなんでも日本にたてつくことをやる。今回の五輪でも、派遣された選手村に日本に対抗するような横断幕を出したり、原発に汚染された食事はできないと、別途自分たちのみで食事の準備をしたなど、どの国でもある一部過激な材料ばかり取り上げ、文大統領は、米国離れを図っている。中国へ限りなく傾いている。北との融和第一に考え、米の中国包囲網へは限りなく抵抗し、韓国の軍事対応の管理権を米から取り戻して日米と今後距離を置きたいのだとか、日本とだけでなく米との関係もおざなりにしつつある」といった評論が多く、韓国頼りなし、もう西側には残らないのではとつい思ってしまうほどだ。映画では、日本は全く登場しない、登場するのは、北と南の朝鮮、米、中国である。そしてそれぞれの国が自国の生存のために皆必死に生きていることが、画面の裏側に読み取れる。
日本も政局がドタバタしだしているが、各国とも大変な状況だ。米の今回のアフガン戦争終結宣言で重要な言葉は、「自助努力しない国は、相手にしない」と言うことに尽き、日本は米との同盟関係を改めて重視し、西側全般とも協力を深め、自力ではできない国際的な諸課題に対応して行かねばならないのだ。その場合、同じ民主国家である日韓関係は極めて大事である。確かにいったん国際約束した内容を反故にするとかけしからんと思えることも多いが、どこの国にも、過激な人間や政府に反対することを生きがいとする人間はいるものだ。そしてどの国の国民も多くはよその国より皆自国をひいきにするのだ。社会も一時狂気に走ることもあるのだ。日本でも、岸さんが日米安保条約を、今までより幾分か平等なものに、双方が負担する形にしようとしたとき、なぜあれほど反対が巻き起こったのか?デモの騒動で亡くなった東京大学の女子学生はかわいそうなことに同情はするが、同人は父親も東大の教授でいわいる上級人間であり、それに対応して国会議事堂を守る警官たちの多くは高校卒などの下流層が多かったのだ。
「韓国はそのうち米国に切り捨てられ大変なことになる、ざまあみろ」などという声も聞くが、米が苦しいベトナム戦争をしていた時軍隊を派遣し戦ってくれたのは韓国軍であった。軍人たちはこうした生き死にの時の恩は忘れないものだ。何かの時彼らは真剣に助けに走るのだ。日本は戦争で大儲けしただけでその後の態度もふてぶてしいと感じる米国人がいても不思議ではない。キリスト教徒の多い米では、大統領と同じカトリック教徒の韓国の文大統領と仏教徒をと思われる日本の菅首相を比べた場合、どちらに好感を持つかと言えば前者なのだ。韓国も台湾もデジタルをはじめ色々な分野で日本に引けを取らないばかりか、ある部分優位になっていることを忘れてはならない。天皇制をはじめ文化の伝統を色々保ってきたわが国は、幸運に恵まれたわけだが、視野を広くしないと世界の潮流から取り残されていく恐れも出てくるのだ。米が「台湾有事」、対中国対抗のためこれから我が国への要求はきついものになることを覚悟しなければいけない。
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