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2021-06-09 21:42
(連載1)デジタル人民元の伸長とグローバル企業の動向
真田 幸光
大学教員
私は、中国本土のサイバーテロ能力とデジタル人民元の進展、そして、製造2025による、「鎖国できる国作り」を目指している様子を大いに注視しています。こうした中、日本のアパレルブランドメーカーであり販売企業であるユニクロが、中国本土政府が推進する「デジタル人民元」プロジェクトに参加していると報道されています。
デジタル人民元は、中国本土の中央銀行である中国人民銀行が発行する法定通貨人民元紙幣・硬貨のデジタルバージョンであり、私営の仮想通貨とは異なります。中国本土政府は現在、世界の基軸通貨であり、これを以て世界経済の根幹の決済をコントロールしつつ、世界の決済情報を集めて、絶大なる影響力を行使している米国の法定通貨である米ドルの影響力を弱める方策として、デジタル通貨の発足を準備中です。既に中国本土全域を対象にしてその試験を開始、また、東南アジアや一帯一路にもデジタル人民元の普及を図ろうとしています。
昨年10月から広東省深センなど一部の都市でデジタル人民元の決済テストが実施されました。実用化に向けて加速する成功体験をもとにした動きといえます。こうした中、中国本土の経済情報メディアである「第一財経」や、中国本土のニュースサイトである「新浪新聞」などは、「ユニクロは本年5月5日、中国本土最大の経済都市である上海市の2店舗と広東省広州市の1店舗でデジタル人民元決済の試験運営を始めた。上海市政府が5月1~5日の連休に南京路ショッピング地区で実施したデジタル人民元決済テストに、ユニクロも参加した。ユニクロは近く、中国本土全域にデジタル人民元決済サービスを拡大する予定としている。ユニクロは、デジタル人民元に対する認識を高めるキャンペーンに積極的に参加しており、顧客にデジタル人民元の便利さを感じてほしいとコメントした。」との主旨の報道をしています。
中国人民銀行は、上述したように昨年10月、広東省深センを皮切りに、江蘇省蘇州、北京、四川省成都など一部の都市で一般市民を対象にデジタル人民元の使用テストを実施しました。深センでは今年1月、抽選で当たった市民に200デジタル人民元をプレゼントし、指定のオフライン店舗とオンラインショッピングモールで使える形にして2度目のテストを行いました。中国人民に対して、にんじんをぶら下げる格好で更に、実施、強化、デジタル人民元の利用を誘導しています。更に、中国本土政府は来年2月の北京冬季五輪の開催に合わせ、デジタル人民元の正式な運用開始を目指しているとも見られ、「五輪の有効利用」も目指して、「通貨覇権」を意識した動きを本格化しようとしています。(つづく)
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