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2021-04-23 16:23
(連載2)高まる中国の台湾侵攻への警戒感
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
ここで国際法上の話をすれば、「内戦」であれば、一つの国の中に二つの政府があるということになる。これは最終的に二つの政府が一つになるということを意味している。これに対して「独立戦争」であれば、一つの国の中に二つの政府があるところまでは同じであるが、その二つの政府は領土を決めて独立することを意味しているのである。つまり、台湾側が独立を宣言するかどうかによって決まる。このように考えると、いざ紛争が起きた際にそれが「内戦」なのか「独立戦争」なのか、周辺国は注視するのだから、台湾政府がどのように自分の地位を考えるかということが大きな問題になるのであるが、台湾は建前上は中華民国として中国大陸全域の主権を有するとしている。そのように考えると、台湾のありかたは台湾自身が決め、有事の選択肢を増やすこと以外は出来ないのである。
しかし、その両岸関係の解釈について、中国共産党は、あくまでも「内戦」であるとして、台湾に侵攻しようとしているということになる。内戦である以上介入するのは「内政干渉」であるとして排除する論理である。そのために、台湾の企業を誘致し、中国に味方する人を大陸に呼び寄せ、そして、反発する台湾の人を潰すようにしているのである。
よくマスコミでは南沙諸島の埋め立てが中心に報道されてきた。もちろん「南沙」諸島も重要であるが、それだけでは不十分だ。「東沙」諸島も大きな問題として取り上げるべきだ。中国の東沙諸島支配の確立は、地理的にそのまま台湾侵攻の足掛かりになるからである。中国の海洋進出にしてもどのような地域がどのような意味を持つのかが大きなカギになるのではないか。日本のマスコミは総合的に中国がどのような動きをし、どのような布石を打っているのかを見ていないと感じる。穿った見方をすれば、中華人民共和国の覇権主義を隠しているような報道しかしていないことになるのである。
台湾がいかに危ないのかがよくわかっただろうか。そしてその台湾有事が、日本に及ぼす影響は大きい。その影響については、さすがにここではやらないが、台湾有事は日本にとって自国の主権に直結する脅威そのものであって、台湾をめぐる情勢を考えるときはそのような全体像をしっかりと見なければならないのではないか。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)高まる中国の台湾侵攻への警戒感
宇田川 敬介 2021-04-22 22:09
(連載2)高まる中国の台湾侵攻への警戒感
宇田川 敬介 2021-04-23 16:23
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