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2020-12-28 08:58
2020年回顧と来年の展望
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
年末になり世界は益々大変になってきた。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、新型コロナウイルスの世界の感染者数が8000万に達した。最大の米が1900万に迫り、インド、ブラジル、ロシアが続き、フランス、英国、トルコ、イタリアが200万を超える勢いだ。米英でのワクチン接種開始のニュースもかすんでしまった。へそ曲がりの筆者は、久しぶりの静かな京都を海外の客人を案内して見物としゃれこむことを計画していたが、それどころではない状況だ。政府は、北米、欧州、(中国、韓国を除く)多くのアジア諸国からの入国制限を来年1月末まで行うと発表した。親中、嫌日のドイツも、最近の強面の中国に異質さを感じ始め、メルケル首相の来年の引退を控え対中警戒心が出てきた。経済面での実利も、中国企業が独占的に利益を得るだけで、ドイツにおこぼれが回ってこないとこぼすようになってきている。
一方、12月28日の報道では、英国のシンクタンクCEBRが、2028年に中国が米を抜き経済規模で世界一位になる、日本は30年にインドに抜かれ現在の3位から4位に転落と予測している。同報告で西側諸国がコロナで経済的に打撃を受けたのに比べ、中国は巧みに抑え込んだと述べている。知人の中国人が解説してくれたが。まず、中国は2003年のSARSで感染症の怖さを身に染みて知っている。西側諸国は対岸の火事として人ごとだった。中国では、ほぼすべての人の行動がスマホの専用アプリで追跡されている。もし、検査で陽性を確認されたなら、この人間と接触した人たちを割り出せる。政府は濃厚接触者を探し出し強制的に検査を受けさせる。感染クラスターが発生したら、その地域全体をすぐさま閉鎖してしまう。PCR検査を受け陰性の人だけしか、レストラン入店を認めないなどと言うことは西側諸国では困難だろうと述べている。
筆者はよく日比谷公園の東京都の図書館を利用するが、公園内にはカレーがうまい松本楼がある。創建者の梅屋庄吉は、戦前香港その他の南方で財を成した。彼は、その頃の欧米の白人が、同地域で我が物顔に威張り散らし、アジア人を虫けらのごとく扱っているのを憤懣一方ならず、その頃知り合った革命を目指す孫文を支援した。梅屋は、孫文が革命を成功させた時も、袁世凱に敗れ日本へ亡命した時も惜しみなく支援を続けた.今の金にして1兆円は使ったと言われる。彼は家族に、「孫文との約束だ。自分のことは一切口外するな」と命じていたそうだ。今、梅屋にならい中国とタイアップすることは不可能だ。中国は独裁体制を深め、共産主義の本質である非人間性を増している。コロナでの情報隠蔽体質にはほとほと愛想が尽きたというところだ。日本人は、益々中国嫌いになってきている。
しかし、日本が生存してゆくためには、経済を無視することはできない。その面での中国との関係は維持しなければならないのだ。安倍総理が、尖閣をめぐり厳しい関係の中、営々として、その関係改善に努力した理由でもある。米国も、中国との関係維持に努めている。米中間も経済での相互依存関係は深いのだ。日本は、米国から不信の面で見られないよう、万全の気配りをしながら、対中でやってもよいことをアンテナを巡らせ嗅覚を研ぎ澄ませ、懸命に模索してゆくよりほかに道はないのだ。日米同盟を維持しつつ、中国とも上手い関係を作るという、したたかでタフな生き方をするのだ。中国は、日本の離米を狙って来るだろし、バイデン政権は今後、同盟重視の観点から日本のより重い役割、より多くの金の拠出を求めて来るだろう。日本は今まで安全保障でコストをかなり抑えてやってこれたが、これからはそうはいかないと覚悟すべきだ。
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