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2020-09-02 08:45
(連載2)コロナ対策と経済対策のバランス
鈴木 馨祐
外務副大臣
この政策転換を、一刻も早くスタートせねばならない。これを進めることができなければ、世界がこれから直面する「新型コロナ構造不況」において日本が再びリーマンショック後の様に一人負けしてしまうということになりかねません。そして、影響を最小に抑えるためには、経済活動への影響も考えながら、今回の新型コロナウイルス感染症の対策として、我々が何をすべきなのかを再確認することも重要です。今回の新型コロナウイルス感染症対策における最大の目的は、亡くなられる方の数を最小限に抑えることです。そのためには、人工呼吸器やECMOの地域ごとのキャパシティを重症者の方の数が超えないようにすることが絶対的に重要です。だからこそ、感染者数ではなく重症者数こそが、我々が注視すべき指標です。そして、高齢者の方や疾患がある方など、重症化しやすい方々の傾向も指摘されています。すなわち、感染した可能性が高い方が、こうした脆弱性が高い方に接触することを控えていただくことが、重症者を増やさないことに直結するということです。
感染者数が増えることが重症者数の増加と必ずしも相関しないのは、今の神奈川県や東京都のデータからも明らかです。全国で最近重症者の方の数が増加傾向にあることには注意が必要ですが、4、5月と比べたとき、重症者数が激増せず、亡くなった方の数も急増していないのは、感染者数のデータから感染拡大の傾向を把握することで、多くの方が重症化する可能性がある方々への接触に気を付けていただいている結果であって、まさにそれは国民の一人一人の努力の結果です。自由な国でITによる行動管理もされない中で、一定程度の抑制ができているのは日本の力だと思います。今後、感染抑制と経済活動のバランスがより問われてくると思いますが、感染者数をゼロにすることではなく、亡くなる方をゼロにする、そのために重症化するリスクを最小限に抑えることが、政府の新型コロナ感染症対策の目的なわけで、「感染者数」の数値のみから「経済を止める」判断をすることは合理的政策判断の観点から適切ではないと考えられます。
最初に書いたように、経済的な構造不況はこれからです。しかも一年以上の長期にわたる可能性が高いことを考えれば、この冬に倒産する企業、失業者を少しでも減らすためには、出来るときに経済活動を可能な限り活発化させておくことが極めて重要です。消毒やマスク、行動に気を付けるなど自分もなるべく感染しない工夫をする、感染している可能性も考え重症化する可能性が高い方との接触においてはより気を付ける、等を徹底することで、少なくとも今の時期は経済活動を活発化することは可能です。
もちろん自然条件が厳しい11月以降になれば新型コロナによる死者数や重症者数など相当厳しい状況に再びなることも考えられます。政府においては、感染や重症化のトレンドを注視し適切な対策を適切なタイミングで講じることが求められます。重症化のトレンドの深刻さと企業全体の財務健全性・経済活動のバランスを取った判断は、どちらかに犠牲は当然出るわけで、両方が100点ということは不可能です。大変に難しい判断になりますが、それをやって初めて、今後やってくる雇用、金融危機、重症化の第二波を最小限に抑えることが可能になります。これからが一番大変な時期であるということを肝に銘じて、引き続き努力してまいります。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)コロナ対策と経済対策のバランス
鈴木 馨祐 2020-09-01 20:39
(連載2)コロナ対策と経済対策のバランス
鈴木 馨祐 2020-09-02 08:45
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