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2020-06-05 09:35
(連載2)民間企業による有人宇宙船打ち上げ成功が意味すること
鈴木 馨祐
外務副大臣
感染症や戦争などの有事に際しては、歴史を振り返っても、どこの国でも政府や行政の役割が一時的に拡大する傾向があります。しかし、経済や暮らしへの政府の過度な介入は、短期的にはその時の国民の不安を解消するために必要なものであっても、長期的には社会の活力を失わせてしまうものです。それを緊急事態に応じた一時的なものとせねば、行政や政府の肥大化と国民負担の増大、社会全体の非効率化という過去の失敗の轍を踏むことになりかねません。
日本においては少なくともこれまでのところ、その宇宙政策の中で、比較的地球に近い宇宙空間については、民間セクターの領域・役割を可能な限り大きくしていこうという明確な方向性を示せないでいます。もちろん、軍事的な、あるいはサイバーセキュリティの観点、ルールメイキングの観点から、政府や国際機関が関与すべき部分は確実に残りますが、民間への開放、民間の自由競争によるイノベーションを主役にという観点からは世界のトレンドから取り残されがちです。
そして、この点は宇宙だけではなく、政府の役割一般でみても、様々な分野において、従来の公的領域の再定義を行って民間の企業やNPO・NGOにも積極的な役割を担ってもらう、いわゆるコレクティブインパクトを最大化していこうという発想が政治全体でまだまだ弱い印象を受けています。むしろ、民間領域においても、自由な競争や他者との差別化よりもなれ合いを好み、変化に対応した適切なリスクテイクを厭う風潮すら散見される現実があります。
宇宙だけではなく、政府のあり方、社会のあり方についても、新時代の幕開けを目指してシステムとして前向きなイノベーションを起こしていくことが必要です。(おわり)
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(連載1)民間企業による有人宇宙船打ち上げ成功が意味すること
鈴木 馨祐 2020-06-04 23:29
(連載2)民間企業による有人宇宙船打ち上げ成功が意味すること
鈴木 馨祐 2020-06-05 09:35
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