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2020-05-15 20:43
(連載1)日本にシリコンバレーができない決定的な理由
岡本 裕明
海外事業経営者
小池都知事が東京を国際金融都市にすると発言してから2年以上経ちますが、何か変化はあったでしょうか?目に見えたものはなかったと思います。「ITと金融を組み合わせたフィンテックや資産運用を手掛ける海外企業の誘致拡大を目指す」としていました。これに対し識者が指摘したのは税制、言葉、規制の3つのハードルでした。なるほど、そうなのですが、果たしてそれだけで問題は解決するのでしょうか?
バンクーバーである財閥系企業の方の講演がありました。ところが行ってみたら残念というか小ばかにしたものでありました。理由は社業に関係する内容については社内の稟議が通らないので会社に関係ない個人の話をするというからです。アメリカ人なら皆、席を立ったでしょう。日本企業にはこのような閉鎖的な体質の企業が大変多いのです。カナダで地元の金融専門家がその講演をするなら誰でもウェルカム的なところがあるのですが、日本の金融機関の方が講演する場合は来場する方を厳選します。理由は「変な方が来て変な質問をすると困るから」というもの。まるで株主総会の質疑応答ぐらいの構えなのです。逆に言えばそれぐらいの質問もかわせないのか、ということになります。
日本企業が内向きでブラックボックス化している典型的な例なのですが、私が日本に国際金融都市もシリコンバレーもできない本当の理由は企業間の熾烈な戦いである「サル山合戦」が災いしているからだと考えています。ウォール街もシリコンバレーも世界中の優秀な人材、マネーを取り込み、更に情報のオープンソース化を行い、最新情報をベースに「お前も俺も成長する」という同じ戦地にいる仲間同士のところがあるのです。あとはどれだけ功績をあげて勲章をたくさんとるか「同胞の協力」を展開するのですが、日本企業は先述の通り社外の人間は全部敵で常にやっつけるという立場にあるのです。この狭い考え方では日本は専門分野で世界をリードすることは絶対にないのであります。
7-8年前に徳島県の神山町がITの起業家のメッカのように言われたことがあります。私も現地近くには行ったことあるのですが、地図で見ても恐ろしいほど山間の辺鄙なところであります。ただ、この町に光ファイバー網やケーブルテレビ網がほぼ完備されていることで「仕事してサーフィンして」が売りだったと思います(徳島の南東部の海岸はサーフィンで有名です)。ではIT起業家にとって成功したのでしょうか?否です。理由は広がりがないからです(つづく)
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(連載1)日本にシリコンバレーができない決定的な理由
岡本 裕明 2020-05-15 20:43
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岡本 裕明 2020-05-16 08:40
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