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2020-04-25 11:42
(連載2)対コロナ経済政策の基本的な考え方
鈴木 馨祐
外務副大臣
そして、日本の特徴の第二点目である解雇がされにくい社会システムがあるために、第一段階の施策の在り方においても、他国と異なったアプローチが日本に必要になってくるのです。従来より私は、現在の変化の速い産業構造にあって、国の成長を最大化するためには、ヒト(人材)とカネ(資金)が最も付加価値の高いビジネスセクターに向かうことが重要であると考えてきました。それゆえ、政治家として、長期雇用慣行、閉鎖的な労働市場、高止まりする企業の内部留保、株の持ち合いなどを変えていく必要があると主張してきました。しかし残念ながら、特に長期雇用慣行については年齢指針も変わっておらず、新卒一括採用、終身雇用の慣行も大きく変わった状況にはありません。
このような経済構造が温存されたままに、今回の新型コロナに伴う事態が起こりました。日本においては、一部の例外はありますが、基本的には在宅・リモート勤務もしくは休業という手段で雇用関係を維持している企業が大半です。つまり、給与もしくは休業手当が企業から支給されているケースが被雇用者においては大半ということです。一方、欧米諸国においては、企業が労働者を囲い込まず、労働市場が流動的ですので、このような経営危機が生じると解雇が急増し収入が断たれる人が急増します。
このような社会の状況の違いを考えれば、欧米と日本で家計支援のかたちが異なってくるのは自然なことです。つまり、欧米においては家計に直接の給付を行うことで生活維持を行う必要が高い一方で、日本においては企業に雇用を維持してもらうために雇用調整助成金などを通じて企業に資金を投入してそこから企業経由で被雇用者に給与ないし休業手当を提供してもらうという間接的な方法が望ましいのです。そして、企業の資金繰り支援を行い倒産を予防するとともに、そこから漏れる個人事業主やフリーランス、あるいは本当に厳しい中小企業には持続化給付金で対応する、という手法が適切です。そして本当に厳しくなった方には、生活のつなぎ資金として直接の給付を行うことももちろん必要です。
他国でどういう経済政策が行われているかということが日々国民の皆様の耳に入る状況にあって、なぜ優れたように見える外国の先例をそのまま日本の政策として採用しないのかと思われる方々もおられるでしょう。それは、こうした、日本の状況や社会の特性を適切にとらえた政策で、その政策の効果を最大化することが求められているからということなのです。政府、国会は、その実現に向けて全力で頑張ってまいります。(おわり)
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(連載1)対コロナ経済政策の基本的な考え方
鈴木 馨祐 2020-04-24 23:24
(連載2)対コロナ経済政策の基本的な考え方
鈴木 馨祐 2020-04-25 11:42
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