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2020-02-04 08:19
(連載2)コロナウイルス蔓延について各国の見方
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
SARS騒動の際にもあったが、今回も北米のメディアで、武漢市にある生物・化学研究所からの菌流出が発端だとしている。聴取したカナダ人学者は、自分はこうした流言飛語は信じないが、ファーウエイ副会長逮捕の前にカナダの研究所から、SARSなどのコロナウイルス研究対象の菌が流失した事件があり、研究に従事していた中国人研究者が拘束されたことはあったそうだ、このQ女史は、北米の大学を飛び級で卒業したほどの秀才で、研究所の上司もそのまじめな勤務態度には全服の信頼を寄せていたそうだ。こうした研究は各国とも軍を中心に行われていて、極めて極秘裏理に実施されているので全貌はつかみにくい。ただ、カナダから渡った菌の研究続行などには、中国だけでは無理なので、どこか西側の国の助けを借りていると推測されていた。
一時は日本も疑われていたそうだ。しかし、今回の騒動で仏が協力しているようであると言われている。昨年、マクロン仏大統領は習近平主席と会い、フランス・中国間の交流増進を大々的にうたい上げたが、水面下ではこのような協力もあったのだと言われている。ちなみに、今年の中国の大きな外交日程を調べると、春の日本、韓国訪問、その前には北京での中欧・東欧17か国、いずれも前社会主義国でEU加盟、非加盟国との会合、秋にはドイツで英国が抜けたEU27か国とのサミットが予定されている。米との貿易摩擦から先端技術覇権をめぐるすさまじい対立の下、中国の日本、韓国、欧州への接近戦略の狙いが見て取れる。
カナダ人学者は、米中の貿易交渉第一段階の合意は成立したが、今回の騒動の影響で、中国国内の消費落ち込みは必至で、中国が米国に約束した米の農産物を2年間で2000億ドル相当購入は極めて難しくなった。しかし物事には、デメリットがあればメリットもあり、中国は近年他国が中国と交渉するとき、少しでも中国国内問題に絡むと激しく反発し会話にならず聞く耳を持たなかった。その一方、他国では、中国自身の統一戦線工作をカネとヒトに糸目をつけぬやり方で行うといった態度は、今回の騒動で少しは反省しおとなしくなることを期待する。また、カナダの専門家筋によれば、新型コロナウイルスの変形菌はまだ出ていないので、そのうちワクチンも出来、そうなれば収束は早いかもしれないとのことだ。
最後に、聴取した台湾人学者の述べるところを次の通り紹介したい。前回のSARS騒動の終息には、7か月間、風評などもおさまる社会全体の終結までにはその倍の期間が必要だったこと、今回はグローバルな拡散が行われていることから、終息宣言までには時間がかかる掛かることも覚悟しておいたほうが良いだろう。台湾から見て日本はあまりにも中国に遠慮しているように見える。日本の報道では、観光や、日本経済への影響ばかり取りあげられている。日本は、五輪までには終息するというシナリオ作りをもくろんでいるのかもしれないが、そううまくゆくかまだ予断を許さない。WHOは、原加盟国の台湾を、中国の圧力で情報伝達を遮断するなどの、台湾いじめを行うなどの極めて非人道的な扱いをしている。台湾のオブザーバーとしての会議傍聴さえ許さない。中国の中央政府は、今回の騒動で国内の突き上げをかわすためにも、対外的にはより攻撃的な態度で臨むだろう。日本や欧州とのサミットの際には、それらの諸国を中国市場への進出の機会を増やすなど、アメで取り込みを図るとともに一方、例えば訪日の際の日中の外交項目の目玉となる「第5の日中間合意文書」作成に当たり、米の最近の台湾政策に逆行するような台湾統一を睨んだ文言を巧妙に仕組んでくることを恐れている。日本は表向きには、台湾について「我が国にとり、基本的価値観を共有し、緊密な経済関係を持ち、人的往来を有する重要なパートナー」で、大切な「友人」と述べてはいるものの、米のような台湾との特殊な関係を法的に認め安定させる動きに決してならない。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)コロナウイルス蔓延について各国の見方
中山 太郎 2020-02-03 16:59
(連載2)コロナウイルス蔓延について各国の見方
中山 太郎 2020-02-04 08:19
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