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2020-01-29 08:34
(連載2)蔡英文総統再選を読み解く
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
韓国瑜候補は、この事故に対して「国運に恵まれていない」とか「台湾は邪気に取りつかれたのか」などと述べ、世論の反発を買った。注目すべきなのは、「軍人は国民党支持者が多い」にもかかわらず、その事故で国民党が軍人の有権者層からも責められたということである。
これには、もともと「現状維持派」が多いという世相にあって、香港デモの過激化と中国共産党の対応は台湾人に「一国二制度などといっても、いつの間にか反故にされて香港のように同化させられてしまう」という確信を与えたことが影響を与えている。韓国瑜候補の失言はその流れを強めたにすぎないということである。このように考えれば、「蔡英文候補の勝利」というよりは、ある意味で「中国共産党とそこにつながる人々の一方的な敗北」というような感覚を持たざるを得ない。
ところで、この台湾総統選挙の勝利に「祝意」を示したのは、「日本」「アメリカ」「イギリス」である。中国は牽制しようと抗議をしているが、そんなことはまあ、いつものことである。前回と異なるのは、「イギリス」が「祝意」を送ったという事実である。これは実のところ、とても重要だ。イギリスのジョンソン首相は、「中国共産党嫌い」で有名であり、エリザベス女王の習近平嫌いとともに、今後のイギリスの政治判断に大きな影響を与えるだろう。
ジョンソン首相は、イランの件に関しては全くコメントを出していないのにかかわらず、台湾総統選挙に関してはいち早く祝意を示し、中国共産党の抗議は完全に無視した。つまり、台湾の現実の政治体制を、イギリスも強く支持するということが表れたのだ。今回の蔡英文総統の圧勝については、「共産党の失策」という点に目が行きがちだが、どこがどのようなコメントを出したのかなどをしっかりとチェックしておく感覚があれば、今後の外交関係を読み解く助けになるだろう。(おわり)
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(連載1)蔡英文総統再選を読み解く
宇田川 敬介 2020-01-28 16:15
(連載2)蔡英文総統再選を読み解く
宇田川 敬介 2020-01-29 08:34
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