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2019-11-07 15:10
(連載1)シリア内戦について
真田 幸光
大学教員
中東情勢は、イスラエルパレスチナ問題、イスラム教国内部のイランとサウジアラビア、そしてトルコの力関係、ロシアも関与するシリア問題などを軸にして、更に、その中東情勢に大きな影響を受ける欧州の思惑も絡み、複雑に推移しています。また、そもそもイスラエル建国に深く関与した英国の思惑、また、その英国自身がBREXITで揺れる中、より一層、複雑骨折化しているとも言えましょう。難しい情勢です。そうした中、今日は「シリア内戦」について簡単に眺めてみたいと思います。
シリア内戦は、アラブの春以降のジャスミン革命の延長線上で起こったもので、2011年3月から始まったとされています。アラブの春の波がシリアにも届き、初期はデモ行進やハンガーストライキなど市民による抵抗運動でしたが、毎週金曜日に行われる礼拝の度にインターネット上でデモが呼び掛けられ、運動は過激化していきました。そして、2011年3月15日、シリア各地の都市で一斉にデモが行われ、抗議者と治安部隊が衝突。この日がシリア内戦の始まった日だとされているのであります。
反政府側の要求は、全ての政治犯の釈放と、抗議者を殺害した者への裁判の実施、令状なしで容疑者を拘束できる「非常事態法」の撤廃、汚職の根絶、更なる自由などでありました。
政府側は、政治犯の釈放や非常事態法の撤廃、内閣の辞職など要求の一部を受け入れて譲歩姿勢を示しましたが、市民の行動は収まらず、政府側が軍を投入して鎮圧を図ると、市民も武装して対抗するようになりました。
更に、政府軍の大佐だったリヤード・アスアドが離反し、「自由シリア軍」という反政府武装勢力を結成し、一部の兵士たちもこれに次々に合流しました。ここに「政府」対「市民」という構図から、「政府軍」対「反政府軍」という構図へと発展したきっかけが見られます。こうして武力闘争に発展、深刻化したシリア内戦が始まってから約8年が経ち、2019年3月15日に発表されたイギリスの監視団体の報告では、シリア内戦による死者は約37万人、難民は約1,300万人に上ると報告されています。(つづく)
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(連載1)シリア内戦について
真田 幸光 2019-11-07 15:10
(連載2)シリア内戦について
真田 幸光 2019-11-09 14:45
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