ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2019-09-11 12:07
(連載1)イエメンフーシ派のサウジアラビア侵攻
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
日本の人々というのは、自分の半径数キロメートルのことにしか関心がないのか、あまりニュースを見ない。世界は大きくつながっているのにもかかわらずその世界の趨勢を知ろうともせず、何かあれば誰かに頼るというような傾向がある。最後に頼る相手がいなくなれば「神頼み」なのである。これは単純に日本人の批判をしているというものではなく、日本人そのものがそのような状況で生活をしながら、これでも発展を維持できているということが、一つの大きな理由になっている。
つまり、それだけ政治がしっかりと機能しており、また国民がそれを享受できているということだ。そんな政治環境が、政治に関心が薄くとも国民が「足ることを知る」ことができる日本の国民性を形作っているのだろう。お盆休みに「煽り運転」事件が起きたとき日本のすべてのニュースがそれをトップニュースで扱っていたが、それ自体が、何とも「平和な国」を象徴しているではないか。まあ、それだけ国際関係に目を向けずともなんとかなっているということだ。しかし、それでも国際社会はさまざまに動いている。その「世界の動き」の中の一つをちょっと垣間見てみよう。
日本の石油は、現在90%近くを中東、それもアラビア半島を中心に輸入している。アラビア半島には海峡が2つあり、その一つはイラン側で「ホルムズ海峡」を通らなければならないルートだ。このホルムズ海峡沖で、6月に安倍首相がイラン訪問にしているとき、タンカーが襲撃されたことは記憶に新しい。もう一つは、「バブ・エル・マンデブ海峡」である。アラビア半島とアフリカの間である。この海峡がモーゼの十戒のモデルとなった、海が割ける場所であるといわれているが、まあその辺は別にする。そのホルムズ海峡がクローズアップされるのは、有志連合などの問題が非常に大きい。しかし、他方のバブ・エル・マンデブ海峡も、海域を出てアフリカ川はソマリアであるし、もう一つのアラビア半島側には、内戦が激しいイエメンがあるのだ。
そのイエメンといえばイスラム教のフーシ派が有名である。フーシ派は、イエメン北部サアダ県から発展し、北部を拠点に活動するイスラム教シーア派の一派、ザイード派の武装組織である。1990年代にイエメン北部を基盤とするザイード派宗教運動「信仰する若者」が発展し、フセイン・バドルッディーン・フーシ師が中核となるが、2004年9月に治安当局により殺害され、「フーシ派」と呼ばれるようになる。スローガンは「神は偉大なり。アメリカに死を。イスラエルに死を。ユダヤ教徒に呪いを。イスラムに勝利を」であり、イランと連携してイエメンの内戦やサウジアラビアとの国境紛争、そしてイスラエルへの攻撃を行っている。(つづく)
<
1
2
>
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
(連載1)イエメンフーシ派のサウジアラビア侵攻
宇田川 敬介 2019-09-11 12:07
(連載2)イエメンフーシ派のサウジアラビア侵攻
宇田川 敬介 2019-09-12 21:23
一覧へ戻る
総論稿数:4661本
東アジア共同体評議会