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2017-05-26 11:25
(連載2)韓国の文大統領を襲う3つの嵐
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
次に、外交・防衛の嵐がある。北朝鮮は核実験やミサイル発射を続けている。トランプ政権は北朝鮮に極めて厳しくあたっており、制裁の圧力を強めている。中国と北朝鮮のとの関係も悪化しており、朝鮮半島をめぐる情勢は緊迫化している。文政権は、北朝鮮に対しては、太陽政策であたると考えられる。THAAD配備の見直しや延期も大統領選では主張してきただけに、十分にありえる。文政権はトランプ政権とはかなり距離を置く可能性は高い。日本・安倍政権との関係の改善の見通しはなく、日米韓の連携は弱まるだろう。
トランプ大統領が韓国へのリスクを顧みず、北朝鮮に武力行使を行うシナリオも想定する必要がある。文政権の北朝鮮への太陽政策が成功するとは考えにくい。韓国からの支援があるなら、核実験やミサイル発射は行いません、という態度を金正恩氏がとるとは思えない。北朝鮮への支援は、核開発やミサイル開発に使われると考えるのが妥当だろう。太陽政策が不発に終わったとき、韓国はさらに危険な状態に置かれることになる。
3つ目が、国内政治混乱の嵐だ。今回の文在寅氏の勝利は、保守系であった朴前大統領の否定から生まれたものだ。決して、文氏の革新路線が積極的に支持されたものとは思えない。つまり、文大統領は目に見える成果を早い段階であげなければ、文政権への批判の声は一気に高まる可能性があるのだ。国民は、大集会やデモによって朴前大統領を罷免にまで持っていった。この政治文化は、文大統領にも向けられるかもしれない。朴前大統領への批判は、個人にだけ向けられたものというよりも、経済の低迷、貧富の拡大、若者の高失業率など社会的不満が爆発したと言える。
文大統領への高支持が、文政権への批判の嵐に変わる可能性もありえる。かなり大きな政治的な分断があると思われる。文新政権は、嵐の中の船出だ。目に見える成果をあげて、この嵐を首尾よく乗り越えることができるかどうか。相当に難しい状況であることは間違いない。嵐の向こうの虹をみることができるかどうか。(おわり)
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(連載1)韓国の文大統領を襲う3つの嵐
児玉 克哉 2017-05-25 15:00
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児玉 克哉 2017-05-26 11:25
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