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2007-02-10 10:15
連載投稿(1)日本でのG8サミット開催はチャンス
河東 哲夫
Japan-World Trends代表
以前から指摘されていることだが、2008年は世界で重要なイベントが集中する。2007年12月には韓国で大統領選挙、ロシアで総選挙があり、2008年3月にはロシアで大統領選挙、台湾で総統選挙、8月には北京オリンピック、11月にはアメリカで大統領選挙が行われる。そしてそれらの真っ只中、6月か7月には日本でG8サミットが開かれる。日本にとって舵取りは難しいが、むしろアジアに世界の目を向けるチャンスととらえて大いに活用するべきだと思う。
その頃、世界はどんな感じになっているか?米国がイラク撤兵を実現しているかどうかが焦点だが、いずれにしても退任を半年後に控えた米国大統領にとっては、後世に残る具体的成果をアジア方面で残せればそれに越したことはあるまい。ロシアの新大統領にとっては初めてのG8であり、随分神経質になって日本に来るだろう。その頃のロシアは恐らくインフレ圧力が今より更に高まり、政権交代直後の利権再配分の動きが頭をもたげる若干不安な状況になっているだろう。中国はサミット参加、不参加のいずれに関係なく、主要なプレーヤーだが、サミット直後に北京オリンピックが開かれることに鑑みれば、サミットがアジアについて大きな前向きイニシャティブを打ち出すことには大いに協力してくるだろう。EUはこれからフランス、英国の首脳が交代するので先行きが読みにくいが、米国と同様EUにとってもアジアは貿易相手No.1となったので(2006年)、アジア問題を話し合うことについて異存はなかろう。ロシアも、極東地方の安定と発展をはかるためには、アジアとの関係は喫緊の課題である。
現在のアジアはばらばらになっている。東アジアでは生活水準の上昇とともに国民の政治への関心が増大し、政府の戦後外交を自分達の目で再点検し始めている。東アジアの民主主義国はどれもポピュリズムの極致にあって、その中で過激な国家主義のカードが様々な勢力によって様々な思惑をもって使われている。過激な国家主義は社会の多数派ではないにもかかわらず、中国や韓国での一部の動きに日本の世論が反発し、それにまた中国や韓国の世論が反発するというように、危険なスパイラル状の相互刺激を始めている。日本が満州事変を始めた時のように、一部の者の思い込みで、アジア全部が本来は起こるはずのなかった悲劇に巻き込まれかねない。(つづく)
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連載投稿(1)日本でのG8サミット開催はチャンス
河東 哲夫 2007-02-10 10:15
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河東 哲夫 2007-02-11 17:06
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