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2017-02-26 21:37
(連載2)金正男氏暗殺で問われる韓国の方向性
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
最も重要なポイントは韓国の動向だ。現在、この混乱の中にありながら、朴大統領は弾劾訴追案が採決され、朴政権は機能不全に陥っている。中国と朴・韓国は、昨年までは極めて密接な関係を築いていた。それが韓国の経済発展の一要因でもあった。しかし昨年、THAAD配備が議論されるようになってから、関係が急速に冷えた。現在は、蜜月どころか対立に近いような雰囲気が漂う。ここで私が注目するのは、反朴大統領の凄まじい運動である。大統領の弾劾にこれだけ多くの人が動員されていることは異常な状態だ。どうであろうともう1年で朴大統領の任期は終わるし、その間も暫定的な実質的指導者をたてればいいだけだ。これだけ大規模なデモを毎週のように行うのには、資金もかなりかかる。北朝鮮からの工作員が扇動しているという説も聞かれる。しかし、北朝鮮だけではできないような規模だ。中国が背後にいてもおかしくない。実際に反朴運動はかなり左寄りであり、朴政権の後には、親北・親中路線になると予想されている。
つまり韓国は、激しく揺れる東アジア情勢の中で、アメリカを中心とした米韓日同盟に傾く路線と中国を中心とした中韓北連携に傾く路線とが同時に動いている。アメリカは、北朝鮮の挑発を契機に、THAAD配備を強要し、米日韓の連携を進めようとしている。今回の金正男暗殺事件のように、安定しない金正恩政権に見切りをつけるとともに、一気に韓国も親中政権にしてしまうことを模索するのは当然だ。北朝鮮がより「中国化」したら、中国は直接的にアメリカが背後にいる韓国と接したくない。
そもそも、中国からすれば、朝鮮半島は中国の支配下にあったものという感覚がある。歴史的に見ても、朝鮮は中国の圧倒的に大きな影響を受け続けてきた。朝貢冊封関係を続け、元号も中国の元号を使っていたわけで、中国の属国に戻るのが自然だと思ってもおかしくない。中国の1950年代後半の歴史教科書をみたことがあるが、そこには中国の領土線とさらに広大な「中国の領土であるが、現在は暫定的に帝国主義支配下にある地域」の境界線があった。東南アジアのかなりと朝鮮半島は全部入っていた。ちなみに沖縄もその中にあった。
トランプ旋風が吹き荒れ不安定な国際関係。金正男暗殺事件は、揺れ動く東アジア情勢をさらに混乱に陥れそうだ。韓国は、アメリカと中国に挟まれて、非常に難しい選択を迫られそうだ。東アジア情勢はかなりリスクがある危険な状態になりつつある。アメリカも、中国も、ロシアも、日本も、大きな動きが起きて欲しくないのが本音だ。金正恩氏がさらに過激な行動をしないことを祈るが、そんな祈りは通用しないようだ。(おわり)
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(連載1)金正男氏暗殺で問われる韓国の方向性
児玉 克哉 2017-02-25 13:41
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(連載2)金正男氏暗殺で問われる韓国の方向性
児玉 克哉 2017-02-26 21:37
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