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2017-02-18 22:16
(連載2)中国の環境規制厳格化に揺れる日系企業
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
しかし、ここからが大事なところなのだ。現在、日系企業が中国で環境対策違反を起こしてしまっている主原因が何かを明確にしない限りは、どんな妙薬もどんな手術も全く意味が無いことになりかねないからだ。これまで私が現地からの生の声を聞きおよび、そして実際に何人かの専門家と意見交換をして推測するところ原因と考えられることは以下の点に集約される。
第1の点は、本社からは環境対策を迫られているが、現場の責任者には何らの有効な手段や方法が与えられず、ただ何とかしろとの一方的な要求になってしまっているということである。第2の点は、現地では、頼るべき現地スタッフに十分な見識や経験が無い場合が多いということである。そして、最悪の場合は、そのスタッフが商業賄賂に絡んでおり正しい判断ができない状況にある。以上のような原因により、現地工場や事業所では的確に状況を把握し、問題に対しての適切な処方箋を書ける人材が不足している現実がある。
病気の原因を的確に見抜き、それに合った処方箋を出せる医者がいなければ、病気を治すことはなかなかできない。間違った処方箋だと病状がさらに重くなることさえある。企業の場合も同様に、専門性を持ち、しっかりとした情報収集、分析、そして対策を打ち出せる人がいなければ、企業・工場が持つ課題の解決はほぼ無理だということだ。つまり、中国での現在の日系企業の大部分は、どのような社会環境の変化が起きていて、自分がどんな状態にあるかを分からないまま、何とかしろと言われ続けているという状況なのだ。この状態が続けば、やがて「病状」は重くなり、治すことができないレベルにまで悪化する可能性がある。
だから本社が本気で現地企業に環境対策を取らせたいのであれば、その道具となる手法や人材を提供すべきである。多くの場合、現地スタッフでは無理で、むしろ状況を悪化させることに繋がる。優秀な外部の専門家に任せてしまうのが正しいやり方だろう。名医とヤブ医者を見分けることは重要だ。大企業も含めて、自己流の分析と処方箋で、相変わらず「弊社ちゃんとやっています」と言いながら、片方では環境違反で罰金を科せられるという矛盾した状況が起きている。決して、総経理(現地企業の責任者)は嘘を言っているわけではない。ちゃんと部下(現地スタッフ)に指示を出し、適切に処理するようにしているのは事実だからだ。(つづく)
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(連載1)中国の環境規制厳格化に揺れる日系企業
児玉 克哉 2017-02-17 14:30
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児玉 克哉 2017-02-18 22:16
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