ノーベル賞経済学者のミルトン・フリードマンが11月16日に亡くなった。彼はマネタリズムの中心的人物として知られるが、通貨制度についても”The Case for Flexible Exchange Rates”という論文を書き、その後の通貨制度に関する議論に大きな影響を及ぼした。この論文の中でフリードマンは、賃金・物価には下方硬直性があり、為替相場よりも調整に時間とコストがかかることから、国内均衡と対外均衡を両立させる手段としては、変動相場制の方が望ましいと主張した。また、固定相場制は、変動相場制に比べて為替投機に極めて脆弱であるという点も見逃せない。この点は、アジア通貨危機を身近に経験した我々にとって、あまりにも明白であろう。