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2014-10-16 15:13
(連載1)憲法九条の想定外の「国際紛争」
加藤 朗
桜美林大学教授
安倍政権の集団的自衛権行使容認の閣議決定をめぐって、賛否両論が激しく闘わされている。憲法九条第一項は「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と定めている。
これまで「国際紛争を解決する手段として」の「武力による威嚇又は武力の行使」については、夥しいほどの数の著作が出版され議論が繰り返されてきた。にも関わらず、元法制局長官阪田雅裕氏によれば(半田滋『日本は戦争をするのか』(岩波新書)62頁)、「国際紛争」についてこれまで政府で議論になったことはないという。
この国際紛争の解釈に一石を投じたのが、安保法制懇の北岡伸一座長代理である。彼は、「国際紛争」には第三国における紛争」たとえばアフガニスタン、イラクのような第三国での紛争は含まれないとの見解を明らかにしている。たしかに「国際紛争」の由来を調べると、北岡氏の主張は正しい。
そもそもマッカーサー・ノートでも、GHQ原案でも「他国との紛争」を解決する手段として「武力による威嚇又は武力の行使」を放棄したのである。つまり憲法九条は、アフガニスタンでのタリバン、イラクやイエメンなどでのアルカイダそしてシリアやイラクでのイスラム国など他国内での非国家主体との紛争など想定していなかったのである。現在「国際紛争」として問題となっているのは、「他国との紛争」ではなく「他国内における非国家主体との紛争」である。(つづく)
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(連載1)憲法九条の想定外の「国際紛争」
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