そのような個別の対処療法は別として、日本は湾岸の安全保障の仕組み(architecture)について知恵を出し、積極的に構想を提示すべきではないか。筆者はクウェート在勤中(98-2000年)から一つのアイデアを温めてきた。協力的安全保障(cooperative security)、reassuranceを精神とする多角的安全保障の枠組みを作ることを目的とする、いわばARFの中東版である。概要はおおよそ次の通り。メンバーは、イラン、イラク、GCCの加盟6か国。オブザーバー(準メンバー)は、日、米、EU、ロシア、中国、(エジプト、トルコ、イスラエル)。意思決定機関は、ARFと同様、閣僚会議、SOM等により構成。事務局所在地はクウェート。目的は、habit of dialogue により加盟国間の信頼醸成を図り、紛争を予防する。ARFと同様、次第に紛争解決の機能を持たせるようにする。